同年の生産量は前年の減少の反動からわずかに増加し、19年並みとなった。一方で、消費量は前年からわずかに増加し、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)以前の19年からは4.3%増加している。これは、COVID−19拡大に伴う都市封鎖の影響を受けて車両用燃料の消費量が拡大前を大幅に下回る中で、バイオ燃料は比較的安定して推移した。
そのうち、バイオディーゼルの消費量は1794万キロリットルと前年並みとなり、19年からは0.85%増加している。大型商用車両に利用される軽油との混合燃料の需要が、一般車両に利用されるガソリンと比べてCOVID−19による都市封鎖の影響を受けにくかったことが背景とされる。加えて、「再生可能資源のエネルギー利用促進に関する欧州議会および欧州理事会指令」
(注2)に基づき、輸送用燃料へのバイオ燃料や再生可能エネルギーの混合率の上昇が下支えとなったこともプラスに働いた。
また、バイオエタノールの消費量は770万キロリットル(同8.5%増)となった。車両燃料用途向け利用の減少を受けたものの、工業用利用の増加が上回った。
(注2)2008年に欧州議会が採択した。車両用燃料へのバイオ燃料や再生可能エネルギーの混合義務や、バイオ燃料導入に係る持続可能性基準が示された。
22年の生産量は、2215万キロリットル(21年比0.94%減)とわずかに減少すると見込まれている。特に、バイオディーゼルの原料(使用済み食用油など)となるなたね油は安定的な供給が見込まれるものの、ウクライナからの供給が多いひまわり油は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けると予測されている。
また、同年の消費量は、2544万キロリットル(同0.78%減)とわずかに減少すると見込まれている。特に、バイオディーゼルは、燃料価格の高騰による車両燃料用途向けの需要の制限に加え、一部のEU諸国で軽油へのバイオディーゼルの混合義務が緩和されることで、混合燃料での需要の伸びが期待できないことから、1794万キロリットル(前年並み)と予測されている。
【針ヶ谷 敦子 令和4年8月10日発】