米国通商代表部(USTR)は5月25日、カナダ政府に対し米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)下の同国の乳製品関税割当について紛争解決協議を再度要請すると発表した。昨年から米国とカナダの間では、カナダの乳製品関税割当措置についてUSMCA下で紛争解決パネルが設置されており、12月にカナダに対し是正措置が求められていた。これを受けカナダ側が新たな関税割当案を5月16日に発表したが、当初のものと大きな変更がなく米国の懸念を払しょくするものではなかった。このため、USTRのタイ代表は失望を表明するとともに、「今後数日間で次のステップを決定する」とコメントしていた
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(注)詳細は「米酪農団体、カナダへの報復関税を要求(米国、カナダ)」を参照されたい。
今回の2回目の協議を通じても解決できない場合、米国はUSMCAに基づく紛争解決パネルの再設置を要請することとなる。
USTRは、カナダが発表した案について、小売業者、外食業者など申請者になりうる者が当該割当にアクセスができないこと、また、新規参入者を排除している可能性があることが問題と指摘している。さらに、カナダが年間の乳製品の割り当てを完全に配分していないことについても異議を申し立てており、このことにより、カナダは協定で同意した市場アクセスを台無しにしていると述べている。
米国農務省(USDA)ヴィルサック長官は、「カナダの保護主義的な酪農政策は、バイデン政権下でUSDAの最大の関心事」であるとし、「カナダ乳製品市場への自由なアクセスを獲得することは政権の最優先事項であり、この目的を達成するために利用可能なあらゆる選択肢を検討している。」と述べた。