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砂糖輸出制限を緩和し、120万トンの追加輸出を許可(インド)

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最終更新日:2022年8月19日

 インド消費者問題・食糧・公共配給省は8月5日、同省のプレスリリースを通じ2021/22年度(10月〜翌9月)の砂糖輸出枠の拡大(現状の1000万トンから1120万トンへの緩和)を発表した。
 同国では近年、砂糖生産量が一貫して国内消費量を上回る中で、政府は余剰在庫解消に向け、輸出とエタノールへの転用を奨励してきた(図)。これら政策により、製糖所の余剰在庫解消と収益改善に大きく寄与することで、農家へのサトウキビ購入代金の支払遅滞が改善するとともに、同国内の砂糖の需給バランスが維持され、砂糖価格の安定にもつながった。
 しかしながら、近時の世界的な食糧インフレが国内砂糖価格の急騰にも波及するとの懸念を受けて、同省は国内在庫の確保による砂糖価格の安定を目的に、本年5月、輸出量の上限を1000万トンに制限することを決定した。その後、当初の見込みよりも国内の砂糖流通は安定し、国内の製糖業界からも輸出制限の緩和を求める声が上がる中で、今回、同省は砂糖在庫のひっ迫懸念は回避されたとの判断から、輸出制限の緩和へと見直されたものである。
図 砂糖の輸出量とエタノールへの転用量の推移
 今回の緩和に対し同省は、国内供給に十分な量とされる600万トンの在庫が確保され、小売価格は適正かつ安定し続けるとしている。加えて、前年度の記録的なサトウキビ生産量を背景に、主産地であるマハラシュトラ州やカルナータカ州などでサトウキビの収穫が早まる見立てを受け、通常、10月末頃から開始される同国のサトウキビの圧搾作業は前倒しが見込まれ、次年度産の出荷分は10月中旬には市場に出回ると予想している。
 一方で、インド製糖協会(ISMA)は、次年度の砂糖生産量は、エタノールへの転用傾向が続くことで、前年度比1.4%減の3550万トンを見込んでおり、今後の国内の砂糖需給や政府の輸出制限の動向が注目されている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の7月末TTS相場1インドルピー=1.85円を使用。
【峯岸 啓之 令和4年8月19日発
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