ラボバンク、世界の乳業ランキングトップ20(2021年)を公表
オランダの農協系金融機関ラボバンクは8月17日、2021年の世界の乳業の売上高(注1)ランキング上位20社を発表した(表)。
(注1)売上高は、牛乳・乳製品類の販売に係るもののみを対象とし、21年の財務状況および22年1月1日〜6月30日までに完了した企業合併・買収(M&A)をベースにしたものである。
2021年の概況
ラボバンクによると、2021年は外食産業(ホテル・レストラン・給食部門)が回復したことに加え、小売部門も引き続き好調に推移したことから、世界的な乳製品需要は堅調となった。主要輸出国の生乳生産量が低調なことや中国需要の増加により、21年の乳製品価格は高水準で推移した。
上位20社の総売上高(米ドル換算)は、前年比9.3%増とかなりの程度増加した。前年と比べ米ドル安傾向であったことが売上高増の要因となった。また、M&Aは、21年は前年と同程度であったものの、22年上半期は10件となり、前年同期30件を大幅に下回った。
各社の動向
前年に続き首位となったラクタリスは、売上高を前年より37億ドル(5017億円:1ドル=135.61円(注2))伸ばした。米国のクラフト・ハインツのナチュラルチーズ部門やベルグループの買収が売上高増の要因である。22年も豪州のジャルナ社などのM&Aが予定されている。
第2位となったネスレは、フランスの投資会社PAIパートナーズとの合弁会社であるフロネリに、アイスクリーム事業の大半を売却するなど、事業の再編を進めている。このため、スイスフランベースの売り上げはわずかに減少したものの、スイスフランと米ドルの為替が有利に働き21年も2位を維持した。
前年より順位を1つ上げて第3位となったダノンは、乳製品代替品の売り上げが21年の売上高の13%を占めた。しかし、米国市場での一部事業の売却もあり、乳製品代替品の売上高は前年比4.5%増と、20年の同15%増と比較すると小幅な増加となった。
第4位の米国最大の酪農業協同組合であるデイリーファーマーズオブアメリカは、19年に買収したディーンフーズとの事業再編を継続中である。
第5位の伊利集団は、M&Aや国内の売上高増に加え、米ドル安による売り上げの増加もあり、上位20社のうち最も大きく売上高を伸ばした。
なお、上位20社に新たに加わったのは、ネスレからアイスクリーム事業を統合したフロネリのみであり、日本の明治は前年より順位を2つ落として15位となった。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の22年7月末TTS相場。
【調査情報部 令和4年8月23日発】
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