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ウクライナ産トウモロコシを巡る情勢(その5)〜最近の輸出動向〜

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 国連は8月22日までに、黒海航路により8月1日にウクライナからの穀物輸出第1便が出港して以降、22日現在で34隻が出航し、計72万3886トンの穀物などがイスタンブールの共同調整センター(JCC)で検査を受けていることを公表している。当初は、トウモロコシ、ヒマワリ油、ヒマワリ粕などの輸送が主体であったが、12日には小麦の輸送も開始された。
 国連の仲介によるウクライナ産穀物の輸出再開に向けた協定は、世界的な食料危機への対処が主要目的とされていた。しかし、協定に基づき輸出された貨物のほとんどは食料危機への対処としたものではなく、その用途も飼料用または工業用であった。食料危機への対処としては、8月下旬に東アフリカのジブチに向けて輸出された小麦2万3300トンとされている。
 黒海航路によるウクライナからの穀物輸出は再開したものの、各所に設置されている機雷の脅威や高額な船舶保険料の影響により、黒海に入ることに慎重な船主も多い。8月15日のウクライナ農業政策食料省ドミトラセビッチ副大臣の会見によると、「黒海各港の封鎖が一時的に解除されたものの、この機会を利用する船会社は少ない」とし、「現時点では協定の成果は不透明であり、8月末には市場への影響が表れるだろう」と述べている。

順調に拡大するウクライナ産穀物の輸出

 ウクライナ農業政策食料省が8月10日に公表した2022年7月の輸出統計によると、穀物や油糧種子などの輸出量は266万トンとなり、前月に比べ49.3万トン(22.7%増)増加した。うちトウモロコシの輸出量は前月から8.5万トン増え、110万トン(前年同月比14%増)となった(表1)。また、小麦の輸出量は前月から3倍弱に増加した。
 トウモロコシは引き続き最大の輸出農産物であり、同月の穀物・油糧種子などの輸出量全体の41%を占めた。
表1 ウクライナのトウモロコシ等輸出量
 ウクライナ農業政策食料省は、8月1日から19日までにトウモロコシが77万トン、穀物合計で128万トンが輸出されたことを公表した(表2)。特に、前年同期比でトウモロコシは輸出量が大幅に増加している。一方で、小麦や大麦は大幅に減少しており、黒海航路の再開による今後の輸出動向が注目される。
表2 ウクライナの8月の穀物輸出量(8月19日時点)
【調査情報部 令和4年8月29日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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