GDTによる乳製品国際取引で新たな入札の試験運用を開始(NZ)
乳製品の国際取引であるグローバルデイリートレード(GDT)は、乳業大手各社と世界70カ国以上、数百人のバイヤーが参加する電子オークションであり、この取引価格は、乳製品の国際的な指標の一つとされている。年間の取引総額は20〜30億米ドル(2793〜4189億円:1米ドル=139.63円(注1))に達し、2008年7月から、毎月2回の開催で運営されている。
このGDTを運営するCharles River Associates(CRA)は22年8月、ニュージーランド乳業大手のフォンテラ社と共同で、以下を目的に、新たにGDT Pulseと呼ばれる比較的小規模なオークションの試験運用を開始した。
(1)GDTを補完
(2)乳製品売買取引の場を拡大
(3)より頻繁な価格決定の場を提供
GDT Pulseの試験運用期間は、22年8月〜23年8月までの1年間であり、期間中は、フォンテラ社の全粉乳(レギュラー規格・契約期間2(注2))のみが出品される。また、GDT Pulseは、GDTが開催されない毎月第2・4・5火曜日に開催されるなど、GDT本体との差別化が図られている(表1)。
第1回目、第2回目のGDT Pulseの入札結果(第1回:8月9日開催、第2回:8月23日開催)は、表2の通りであった。
今後、CRAは試験運用の状況を検証した上で、本格的な運用が決まり次第、他の乳業大手にも参加を呼びかけるとした。併せて同社は、将来的にはオークションの毎日開催に向けて、システム開発に取り組むとしている。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年8月末TTS相場。
(注2)商品の契約期間は、オークション開催前に乳業大手各社により決定され、GDTでは、図1に示す6つの契約期間のうち、いずれかが設定される。なお、GDT Pulse試験運用期間では、契約期間2のフォンテラ社の全粉乳のみが出品される。
(参考)GDTの主な流れ
・乳業大手各社は、あらかじめGDTに出品する商品の数量、契約期間、開始価格などを決定の上、それらの商品情報をGDT開催日の5日前までに、GDTのウェブサイトで公表する。
・各入札参加者は公表情報に基づき、ウェブサイトの応札画面からGDTの入札開始価格を参考に購入希望数量を入力する。
・GDTの入札担当者は、所定時間経過後に入札を終了させ、応札状況を確認する。
・この入札で入札数量が出品数量を上回った場合、価格を上げて再入札(第2回)を行う。なお、入札数量が出品数量以下となるまで、再入札は繰り返される(図2)。
【工藤 理帆 令和4年9月5日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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