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秋季の大型連休に向けて国家備蓄による豚肉の市場放出を実施(中国)

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 中国国家発展改革委員会(以下「発改委」という)など関係機関は2022年9月8日、国家備蓄による豚肉の市場への放出(3万7000トン)を実施した。中国では、21年7月から22年6月にかけて、生体豚価格の低迷から「政府の豚肉備蓄調整メカニズムを改善し、豚肉市場の供給と価格の安定を図る準備計画」(注1)に基づく豚肉の買入れおよび保管を実施してきた。しかし、6月以降、生体豚価格が急激に上昇に転じたことで、秋季の需要期に向けた安定的な供給の確保を目的に実施されたとみられる。
 発改委によると、養豚生産者の経営状況の指標の一つである豚/穀物比(注2)は22年の3月下旬に底を打った後、少しずつ回復傾向にあったが、6月下旬から7月にかけて急激に上昇し(図1、2)、損益分岐点とされる7:1の水準も超過した。その後、8月下旬には再度上昇し、8月31日の豚/穀物比は8.13:1と21年4月以来の高水準となっている。
図1 豚/穀物比の推移
図2 生体豚価格の推移
 6月下旬から7月にかけての生体豚価格の急激な上昇は、上海などのロックダウン解除に伴う需要の回復に加え、価格上昇への期待から生産者が出荷調整を行ったことが要因とされている。中国では中秋節(22年は9月10〜12日)や国慶節(同10月1〜7日)などの大型連休による消費需要(連休需要)が見込まれるため、今回の放出は主要な食肉である豚肉価格の安定を図る目的で実施されたとみられる。
 発改委などは、地方政府により備蓄された豚肉に対しても放出を求めており、現地報道によると、広西省、四川省、吉林省、寧夏省、湖南省などがすでに準備を進めているという。
 
(注1)「完善政府猪肉儲備調節机制 做好猪肉市場保供穏价工作預案」2021年第770号公告)を指す。なお、詳細は海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」を参照されたい。
(注2)政府による養豚生産者の収益性の指標値。算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格。損益分岐点は7:1とされている。価格高騰時の警報水準のうち、最も低い水準である第3級警報基準は9:1以上とされる。
【海老沼 一出 令和4年9月15日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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