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高病原性鳥インフルエンザの流行で、鶏卵・ブロイラー価格は上昇(欧州)

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欧州でも猛威を振るうHPAI

 世界中で報告されている高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の流行は、欧州各国で確認され、鶏卵・鶏肉の需給に影響を与えている。例年、HPAIは冬場に流行するが、今年は夏も断続的に発生が確認されていた。10月から本格的な流行シーズンを迎えることとなり、各地で発生が確認されている。欧州委員会によると、フランスの発生数が最も多く、ハンガリー、ドイツ、オランダと続いている。現地情報によると、フランスでは、5月から11月の間で1900万羽が殺処分され、8月1日から11月8日までの間に49の農場で確認、また、野鳥での確認事例も増加しているという。このような状況を受けてフランスは11月、HPAIのリスクを中程度から高程度へ引き上げ、家きん類を屋内飼育とするなど予防策を強化した。オランダでも10月初旬、商業用の家きん類に対し同様の措置が講じられている。
 また、英国でも広い地域でHPAIの発生が確認されており、11月初旬にイングランドでも家きん類の屋内飼育が命じられ、11月下旬に北アイルランド、12月初旬にウェールズでも同様の措置が命じられた。また、スコットランドの農業団体も同様の措置が発令されることを行政に求めている。現地報道によると、英国では、HPAIに加え、生産者は飼料価格の高騰など生産コストの大幅な上昇を賄いきれない状況に直面しているとされている。また、放し飼いで飼養している採卵鶏の生産者の3分の1が生産を縮小もしくは停止している状況にあり、鶏卵不足となる可能性も示唆されている。
 このような状況を受けて、欧州議会の農業関連議員は11月下旬、鶏卵部門への支援を要請している。また、英国でも英国家きん協議会(British Poultry Council)が、議会に対してHPAIの影響を緩和するための対策が必要であると訴え、家きん部門への支援を要請した。

鶏卵価格とブロイラー価格の動向

 直近の欧州の鶏卵およびブロイラー価格は例年より高値で推移している。中でも鶏卵価格は8月上旬から上昇し続けており、11月に入り落ち着きつつも高値を維持している(図1)。現地情報によると、鶏卵の供給は依然少ないものの、クリスマス商戦に向けた製菓・製パン業などからの需要は満たしているとされている。
図1
 また、ブロイラー価格も高値安定で推移している(図2)。現地情報によると、クリスマスが近いことで、需要がブロイラーから七面鳥やアヒルへ移っていることが上昇を抑制している要因とされている。
図2
【上村 照子 令和4年12月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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