欧州委員会がEUの飼料用たんぱく質需給データを発表(EU)
欧州委員会は11月18日、EUの飼料用たんぱく質需給データを発表した。これによると、2021/22年度のEUの飼料需要量は、粗たんぱく質ベースで7192万トンとなったのに対し、域内供給量は5534万トンとなり、域内産原料による供給比率は76.9%であった。域内供給量の内訳を見ると、牧草などの「粗飼料」が41.5%、「畑作物」(主として穀物)が23.3%と、これらを合わせて64.8%が供給されており、「副産物」(主に油糧種子を搾油した後の油かす)が32.9%、「非植物性原料」が2.3%となっている。
域内自給率を見ると、「粗飼料」は100%、「畑作物」は9割以上であった。一方、「副産物」は、輸入油糧種子を域内で加工した後の油かすを含めても域内自給率が37.3%を占めるに過ぎず、これらを代替する作物の生産拡大が課題となっている。
欧州委員会は、マメ科植物などによる植物性たんぱく質の生産拡大は、経済的な利益をもたらすだけではなく、大気中の窒素を固定することにより、より持続可能な栄養循環が可能となり、環境面でさまざまなメリットをもたらすとみている。このため、飼料用たんぱく質の輸入依存度を下げることを重要な課題としている。
欧州配合飼料生産者連盟(FEFAC)も、たんぱく質含有率が30パーセントを超える高たんぱく質飼料原料の自給率が低いことについて、これらの大部分が輸入大豆かすにより賄われていることを指摘し、欧州域内での高たんぱく質飼料原料の供給を強化することを求めている。
同報告では2022/23年度の需給見通しも含まれており、同年度の飼料需要は粗たんぱく質ベースで7168万トン(対前年度比99.7%)とわずかに減少するものの、安定的に推移するとしている。EUのたんぱく質の自給率は、今年の夏の干ばつによる域内産とうもろこし生産量の減少が要因とされるものの、前年度とほぼ同じ76.8パーセントを維持すると見込まれている。
【調査情報部 令和4年12月23日発】
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