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2022/23年度の生乳生産量は減少の見込み(豪州)

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 豪州の酪農業界団体であるデイリー・オーストラリア(DA)は2022年12月3日、最新の酪農の生産見通しとなる「Situation and Outlook(December 2022)」を公表した。
 本報告書はDAが年4回公表しているもので、豪州国内外の生乳需給や経済情勢など、豪州の酪農・乳業に影響を与える複数の指標について現状と見通しを整理している(概要:表)。
表 現状と見通し
 本報告書では、2022/23年度(7月〜翌6月)の豪州の生乳生産量について具体的な予測数量は示されていないものの、「前回(22年9月)予測の“21/22年度比0%増”を下回ることはほぼ間違いない」や「成長は限定的」など、前年度を下回ることが示唆されている。またその要因には、近年の同国の酪農業界の課題となっている労働力不足や廃業(肉用牛農家への転換含む)に加え、最近の多雨および洪水被害が挙げられている(図)。特に主要酪農地帯であるビクトリア州やタスマニア州で、生乳生産量のピークを迎える10月に洪水が発生したことで、その影響は年度を通して及ぶと予測されている。
 またこの度の洪水は飼料生産にも影響を及ぼすとされ、湿潤状態の長期化が作物の品質を低下させるため、特に高品質な飼料の価格高騰を招くと予測されている。しかし同時に、飼料用小麦など、品質低下で格下げされた飼料穀物の入手が安易となる可能性があるともされている。
図 豪州の降水量
 また本報告書には、豪州全土250戸の酪農場を対象としたモニター調査の結果概要も掲載されているが、この調査でも、豪州酪農業界における労働力不足が取り上げられている。報告書によると、外部労働力の不足から家族労働力への依存が高まっているため、ロボット搾乳システムや、牛の行動をモニタリングできる首輪など、省力化技術への投資が増加しているとされている。
【阿南 小有里 令和4年12月23日発】
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