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肉用牛契約ライブラリーの試験的運用の開始(米国)

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 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)は12月7日、市場の透明性を確保すべく、牛肉処理・加工企業による肉用牛生産者との契約情報の報告の義務付けと、USDA/AMSによる公表を規定する肉用牛契約ライブラリーの試験的運用に関する最終規則を公表した。USDA/AMSは今年4月以降、本規則の策定に向けて、肉用牛・牛肉業界関係者からの意見聴取や一般開放した公聴会などを行ってきた。本規則は2023年1月6日に施行される。

肉用牛契約ライブラリー最終規則の概要

(1)牛肉処理・加工企業による契約情報の報告
  本規則では、直近5年間に米国内で処理された肉用牛の年間平均頭数の5%以上を処理した牛肉処理・加工企業を対象として、肉用牛生産者との契約情報および月次肉用牛購入頭数をUSDA/AMSに報告することを義務付けている(表)。USDA/AMSによると、米国内牛肉処理・加工施設の約85%が報告対象になるという。また、対象となる牛肉処理・加工企業は新規契約の締結、既存契約の変更・廃止から1営業日以内にUSDA/AMSに報告しなければならないとされている。
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(2)USDA/AMSによる契約情報の公表
  牛肉処理・加工企業からの契約情報の報告を請けたUSDA/AMSは、農務長官の指示のもと、契約当事者を含む個人情報や企業機密を保持する方法で公表することを規定している。本規則には契約情報を公表する具体的な方法は明記されていないが、USDA/AMSによると、既に運用されている肉豚契約ライブラリーと同様の方法で公表を予定しているという。なお、肉豚契約ライブラリーでは、契約基準価格、販売基準、増額・減額条件などの契約条件をまとめた「契約概要レポート」と今後6カ月間と12カ月間の豚肉処理・加工企業による肉豚購入予定頭数をまとめた「月次レポート」の2種類によって契約情報を公表している。

2 業界の反応

 全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、本規則の公表を受け「我々は市場透明性の向上に長年取り組み続けており、米議会やUSDAが肉用牛業界関係者の声に耳を傾け、肉用牛契約ライブラリーの試験的運用に至ったことは喜ばしいことである」と歓迎の意を表した。また、肉用牛生産の盛んなサウスダコタ州肉用牛生産者協会(SDCA)も「我々は肉用牛生産者や牛肉業界にとって、新たに強制的な制限を加えることには常に反対である。しかし、養豚業界では既に同様の仕組みが機能しており、肉用牛契約ライブラリーが新たな制限というわけではなく、肉用牛生産者も恐れる必要はない」と一定の理解を示している。
【調査情報部 令和4年12月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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