米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2023年1月)
世界の期末在庫は前月に引き続き3億トンを下回る見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年1月12日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億5593万トン(前年度比4.9%減)と前月から593万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、中国などが上方修正されたものの、米国やアルゼンチン、ブラジルなどが前月から下方修正された。特に、12月から1月初めにかけて猛暑が続くアルゼンチンでは、主産地の早植えトウモロコシの収量が減少し、前月から300万トン下方修正されている。また、ブラジルも南部の一部で発生している干ばつによって第1期作のトウモロコシの減産が見込まれている。
輸入量は、世界全体で1億7545万トン(同4.7%減)と前月から97万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、ベトナムやタイ、ペルーなどが前月から下方修正された。
消費量は、世界全体で11億6547万トン(同3.0%減)と前月から508万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国が前月から200万トン上方修正されたものの、米国、ブラジル、ウクライナなどが前月から下方修正された。中国では、生産量が前月から上方修正されたことやソルガムの輸入量の減少予測を背景に飼料向けが増加しており、全体の消費量は2億9700万トン(同2.1%増)と見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億7817万トン(同12.7%減)と前月から346万トン下方修正され、前年度からかなり大きく減少すると予測されている。地域別に見ると、ウクライナなどが前月から上方修正されたものの、減産の影響を受けた米国やアルゼンチンなどは前月から下方修正された。
この結果、期末在庫は2億9642万トン(同3.1%減)と前月から198万トン下方修正され、前月に引き続き3億トンを下回ると見込まれている。
米国の輸出量は前年度比22.1%減と大幅に減少する見込み
USDA/WAOBは2023年1月12日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
生産量は、単収が増加するものの収穫面積の減少予測を受けて、137億3000万ブッシェル(3億4876万トン(注1)、前年度比8.9%減)と前月から2億ブッシェル(508万トン)下方修正され、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。
消費量は、119億9000万ブッシェル(3億456万トン、同4.0%減)と前月から3500万ブッシェル(89万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。用途別に見ると、でん粉やグルコース、デキストロースなどその他工業向けでの利用の減少が見込まれている。
輸出量は、12月までの販売や出荷が低調な状況を受けて、19億2500万ブッシェル(4890万トン、同22.1%減)と前月から1億5000万ブッシェル(381万トン)下方修正され、前年度から大幅に減少すると見込まれている。
この結果、期末在庫は、12億4200万ブッシェル(3154万トン、同9.8%減)と前月から1500万ブッシェル(38万トン)下方修正され、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、8.9%(同0.3ポイント減)と依然として前年度を下回ると予測されている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.70米ドル(896円。1キログラム当たり35.3円:1米ドル=133.70円(注2))と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、引き続き高値が予測されている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年12月末TTS相場。
【針ヶ谷 敦子 令和5年1月19日発】
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