デンマークの食肉最大手デニッシュ・クラウン社は2023年1月19日、ドイツ国内の豚肉供給量の減少
(注1)により、ハンブルクから東に約50キロメートルの場所にある豚の加工施設ボイツェンブルク工場を閉鎖し、今後6カ月以内にエッセンのと畜場にその機能の大部分を移転すると発表した。閉鎖される同工場では、20年9月に野生イノシシからアフリカ豚熱が確認されて以降、豚肉輸出の減少により21年4月に生産能力を半減させていた
(注2)。
(注1)海外情報「ドイツの豚飼養頭数、25年ぶりの低水準に(EU)」参照のこと。
(注2)海外情報「デニッシュ・クラウン社、ドイツの豚肉処理工場の生産能力を削減(EU)」参照のこと。
同社のヴァリュールCEOは「われわれは純粋にドイツで利益を上げる必要があり、今が大規模生産からより機動的な体制へ変更する時期と考えている」とし、収益を改善するという明確な目的を述べた。また、エッセンのと畜場は、同社の他の加工施設へ原料を供給する重要な施設であり、ドイツを含むヨーロッパ地域の顧客ニーズに正確に応えられるよう、生産を調整する予定としている。
約20年間稼働してきたボイツェンブルク工場については、今後、従業員代表との交渉が終わり次第、生産中止計画を作成し、建物はその後売却予定とされている。
デニッシュ・クラウン社は、ドイツ国内に豚と畜場を1カ所、牛と畜場を2カ所、ボイツェンブルク工場を含む食肉加工施設を3カ所所有しており、2021/22会計年度(10月〜翌9月)には46万トンの処理能力を有し、約3400名の従業員を雇用している。