米農務省、牛などの移動に関し規則改正案のパブリックコメントを募集(米国)
米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は2023年1月19日、家畜のトレーサビリティに関する規則の改正案について、パブリックコメントの募集を開始した。今回の規則案では、州境を超えて移動する牛とバイソンについて、視覚的かつ電子的に識別可能な耳標の装着を義務化することを要求している。USDAは、3月20日までパブリックコメントを実施する。
現在、牛とバイソンには、電子識別機能を伴わない耳標の使用も認められている。USDAによると、この耳標は年間約1100万枚、国内個体数の11%に相当する頭数で使用されているという。今回、電子識別可能な耳標の装着を義務化することにより、耳標を目視で読み取るための家畜の拘束が不要になるほか、電子リーダーによる読み取りを行うことにより、データベースへの転記ミスを防止できるといったメリットが期待されている。USDAは「この変更により、家畜疾病の発生に対し迅速に対応することができる」としている。また、そのほかの改正内容として、データベースへの入力内容を必要に応じてUSDAが利用できることを要求しているほか、記録要件の明確化などを提案している。
今回の改正案が適用された場合、最終規則が連邦官報に掲載されてから6カ月後、牛とバイソンの州間移動のために視覚的および電子的に読み取り可能な耳標を使用することが義務化される。ただし、現段階では、規則の最終的な改正日は未定となっている。
業界団体は規則に柔軟性やプライバシーの確保求める
本規則の改正について、全米最大の肉牛生産者団体である全国肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、「USDAは全国的に重要な家畜トレーサビリティ規則に取り組んできた」としてUSDAの取り組みを評価している。一方で「最終規則は柔軟性とプライバシーを最大限に確保したうえで、生産者のコストや業界への混乱を最小限に抑えたものとする必要がある」として、肉牛生産者への配慮を求めた。また、NCBAは同協会の提案する基準(表)を満たしているかどうかを判断するため、今後、改正案の内容を精査するとしている。
【小林 大祐 令和5年2月8日発】
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