米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2023年2月)
ブラジルが米国を抜いて最大の輸出国、期末在庫は前月に続き3億トンを下回る
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年2月8日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億5136万トン(前年度比5.3%減)と前月から457万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、フィリピンやベトナムなどが増産により上方修正されたものの、主産地のアルゼンチンは、12月から1月中旬にかけて猛暑と干ばつが続いたことで減産が見込まれ、前月から500万トン下方修正されている。
輸入量は、世界全体で1億7700万トン(同4.1%減)と前月から155万トン上方修正されたものの、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、ベトナムやインドネシア、マレーシアなどが前月から下方修正されたものの、EUは前月から上方修正された。
消費量は、世界全体で11億6237万トン(同3.3%減)と前月から310万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国は前月から据え置かれ、EUが前月から上方修正されたものの、ブラジル、アルゼンチンなどが前月から下方修正された。
輸出量は、世界全体で1億8107万トン(同11.6%減)と前月から290万トン上方修正されたものの、前年度からかなり大きく減少すると予測されている。地域別に見ると、減産の影響を受けたアルゼンチンは前月から下方修正されたものの、EU向けの増加が見込まれるブラジルやウクライナなどが前月から上方修正された。特にブラジルは、アルゼンチンの減産や米国の出荷低迷を受け、世界最大の輸出国である米国を上回る5000万トン(同4.2%増)と増加が見込まれている。
この結果、期末在庫は2億9528万トン(同3.6%減)と前月から114万トン下方修正され、前月に引き続き3億トンを下回ると見込まれている。
米国の輸出量は前月に引き続き前年度比22.1%減と大幅に減少する見込み
USDA/WAOBは2023年2月8日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
生産量は、137億3000万ブッシェル(3億4876万トン(注1)、前年度比8.9%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。
消費量は、エタノールでの利用減少を受けて119億6500万ブッシェル(3億392万トン、同4.2%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。用途別に見ると、でん粉やグルコース、デキストロースなどその他工業向けでの利用の減少が見込まれている。
輸出量は、19億2500万ブッシェル(4890万トン、同22.1%減)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に減少すると見込まれている。
この結果、期末在庫は、12億6700万ブッシェル(3217万トン、同8.0%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)上方修正され、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、9.1%(同0.1ポイント減)と前月から若干回復したものの、依然として前年度を下回ると予測されている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.70米ドル(881円。1キログラム当たり34.7円:1米ドル=131.47円(注2))と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、引き続き高値が予測されている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年1月末TTS相場。
【峯岸 啓之 令和5年2月15日発】
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