オランダの乳業最大手であり協同組合系のフリースランド・カンピーナ社は2023年2月9日、同国内のバター生産拠点を再編し、より持続可能なものにするために、すべてのバター生産をロヘム工場に統合する方針を発表した。これに伴いスヘルトーヘンボス工場は閉鎖されることになる。なお、同社は、オランダの農協系金融機関ラボバンクが発表した21年の世界主要乳業の売上高ランキング
(注)では、世界第8位である。
(注)海外情報「ラボバンク、世界の乳業ランキングトップ20(2021年)を公表」を参照されたい。
同社によると、この統合は、外食産業のクリーム需要の高まりによりバター製造用に仕向けるクリームが減少し、現在のバター製造能力が過剰と判断されたことによるとしている。このため、バターやバターオイルなどの生産をすべてロヘム工場に統合することで、より効率的な生産が可能となり、さらにロヘムに環境に配慮した工場を新設し、二酸化炭素排出量の大幅な削減を図ることとしている。
同社フード&ビバレッジ部門トップのロエル・ファン・ニールボス氏は、「今回の決定により、数十年にわたるスヘルトーヘンボスでの製造が終了する。多くの従業員にとって感慨深い別れになるが、社内外で新しい仕事を見つけることが出来るようサポートする」と述べている。なお、同社は1月30日、同社CEOのハイン・シューマッハ氏が23年5月1日付けで同社を退職し、前述の世界主要乳業の売上高ランキングで世界第11位の英ユニリーバ社CEOへ就任することを発表している。
ロヘムの生産拠点の拡張には約2年を要し、再建後には新たに27名を雇用するとしている。また、スヘルトーヘンボス工場は2025年半ばに閉鎖され、約90人の雇用が失われる。この雇用削減には定年退職も含まれるが、ロヘムへの統合の影響を受ける従業員については再就職の支援を行う予定とされている。