ドイツ養豚生産者協会(ISN)は2月28日、ドイツ社会問題・健康・統合・消費者保護省がポーランドに接するドイツ東部ブランデンブルク州コットブス市の農場で飼養されている豚からアフリカ豚熱(ASF)を確認したと公表した(図1)。同省の発表によれば、今回の確認は既存のASF制限区域内の非常に小さな養豚場(飼養頭数11頭)であり、既に飼養されている豚は殺処分されているとのことである。ISNは、他の養豚農家の存続を危ぶむことは許されないため、養豚場の防除対策の重要性を印象付けるものと指摘している。
また、それに遡る2月22日、同省は同市内で死亡していた野生イノシシからもASFが確認されたことを発表していた。同省のトプファー長官は、今回のASFの発生地域には既に防護柵が設置されているため新たに事態が深刻化することはないが、同区域以北へのASFの拡大は阻止しなければならないとしている。なお、狩猟者がASF制限区域内で野生イノシシを捕獲した場合、1頭につき150ユーロ(2万1916円:1ユーロ=146.11円
(注1))を受け取ることができるとされる。
今回の飼養豚でのASFの発生は、同州内では5件目となり、ドイツ国内の飼養豚での発生件数は、2021年11月のメクレンブルク=フォアポンメル州、22年5月のバーデン=ヴェルテンベルク州および22年7月のニーダーザクセン州に次いで8件目となる(表)。20年9月の野生イノシシでのASF確認以来
(注2)、中国などはドイツからの豚肉輸入を禁止している。このため、ドイツ国内の業界関係者からは、今回の発生により豚肉の輸出解禁がさらに遠のくとの声が出ている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末TTS相場。
(注2)海外情報「野生イノシシで初のASF発生(ドイツ)」を参照されたい。