畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2023年 > 2021/22年度の牛肉などの市場動向調査結果を発表(豪州)

2021/22年度の牛肉などの市場動向調査結果を発表(豪州)

印刷ページ
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は2023年2月、21/22年度(7月〜翌6月)の牛肉をはじめとした食肉(魚肉を含む)の市場調査結果を公表した。
 これによると、豪州の牛肉産業は一貫して輸出志向型であり、国内向けには生産量の約3割が仕向けられている(図1)。
図1 国内仕向け割合
 また、豪州は人口が約2610万人と日本の約2割である一方で、可処分所得が7万5000米ドル(1030万円:1米ドル=137.33円(注))以上の世帯が日本の約1.6倍に相当する620万世帯であることから、牛肉などの高級食材購入のための支出が比較的可能な状況にあるとしている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末TTS相場。
 しかし、豪州における新型コロナウイルス感染症(COVID−19)拡大前の2019年には、牛肉の国内供給の3割(金額ベース)が外食産業向けであったと推定されているが、22年はこの水準まで回復していないとされるため、今後の動向が注目されている。
 豪州国内の消費動向を見ると、年間1人当たり26.6キログラムの牛肉が消費されており、食肉中では、鶏肉の同49.2キログラム、魚肉の同27.9キログラムに次ぐ消費量となっている。一方、食肉別の支出金額割合では牛肉が最も多く、22年6月の調査においては、全体支出金額の37%を占め、次いで鶏肉が同26%、豚肉が同13%となっている。このことから、鶏肉や魚肉の消費が多い一因としては低単価であることが想定されるとともに、比較的高価な牛肉に対し一定の評価(ニーズ)があることもうかがえる(図2、3)。
図2 1人当たり消費量
図3 支出割合
 本調査によると、COVID−19によるロックダウン以降、消費者の購買行動は変化してきており、特に若齢層を中心に健康への関心が高く、良質なたんぱく質である牛肉の新しいレシピを求める傾向にあるとしている。また、消費者が牛肉を購入する決定要因としては、(1)新鮮な見た目、(2)賞味期限、(3)値頃感など商品そのものへの評価・判断指標が上位となっているほか、(4)脂肪量や薬剤の使用状況ーといった健康面や安全面に対する関心も一定程度存在する中で、(5)下準備済みですぐ食べられるかーといった利便性に関する要因も挙げられており、消費者の判断指標の多様化がうかがえる結果となった(図4)。
図4 消費者意識調査
【調査情報部 令和5年3月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530