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鳥インフルエンザの拡大も、EUの鶏肉生産は安定と予測(EU)

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 米国農務省海外農務局(USDA/FAS)は3月1日、EUの家きんおよびその生産物に関する報告(半期)を公表した。当該報告は春と秋の年2回公表されている。それによると2023年のEU鶏肉生産量は、飼料穀物やエネルギーなど生産コストの上昇、また、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が続いている中で、前年比0.3%増と安定的に推移すると予測している。これは、HPAIが採卵鶏、七面鳥、アヒルの農場での発生が多くブロイラーは比較的影響が少ないことが要因とされる。また、消費については今後もインフレが懸念される中で、鶏肉は他の動物性たんぱく質と比較して手頃な価格であることから、22年の域内消費量は同1.2%増、23年度は同1.4%増と予測している。鶏肉輸入については、旺盛な需要を背景に22年に同13%増加し、23年は外食需要に牽引されてさらなる増加(同8%)を予測している。一方、輸出については、22年は同6.1%減少し、23年はHPAIによる諸外国の輸入規制とブラジルなど他の鶏肉輸出国との価格競争力の低下により、さらなる減少と予測している。
 なお、欧州委員会は22年12月に鶏肉を含めた畜産物の中期需給見通しを公表しており、その中で七面鳥など鶏肉以外も含む家きん類の生産について、22年は同0.9%減、23年は0.4%減と予測している(注1)。近々公表される23年春の短期需給見通しが注目される。
 
(注1)畜産の情報2023年2月号「EUの乳製品および食肉の需給動向の現状と展望〜2022年EU農業観測会議から〜」参照のこと。

輸出が好調なポーランド

 ポーランドの鶏肉生産量はEUにおいて第1位であり、20%前後のシェア(輸出に占める割合)を占めている(図1)。
図1
 現地報道によると、HPAIの発生や生産コストの上昇がみられるものの、ブロイラーでのHPAIの発生は比較的少ないことから、鶏肉輸出は好調であり、2022年は輸出量を更新する見込みとされる(図2)。HPAIの発生を受け、国単位で輸入禁止措置をとる南アフリカ、フィリピン、中国への輸出は減少したが、サウジアラビアなど新たな市場への輸出を始め、英国、ドイツなど既存の輸出先への輸出量を増加させているという。
図2

今後も鳥インフルエンザの発生懸念高まる

 一方、欧州食品安全機関(EFSA)は3月13日、欧州におけるHPAIの発生件数が、今後数カ月の間に再び増加する可能性があると警告した。現在、昨年11月のピーク時より感染数が減少しているものの、フランスやベルギーなどの数カ国ではカモメにHPAI感染事例が増加しており、カモメの行動範囲が内陸部に広がることで、家きん類への感染リスクが高まる可能性があるとしている。そのためEFSAは、これらリスクに対処するためEU加盟国に対し、飼養密度の高いすべての家きん生産地域において適切な予防策を講じるよう勧告した。
【上村 照子 令和5年3月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
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