ウクライナ国税庁の月別輸出統計によると、2022年のトウモロコシ輸出量はロシアの侵攻の最中にもかかわらず前年をわずかに上回る2518万トンとなった(表)。これは、黒海穀物イニシアティブおよび連帯レーン
(注2)の下でトウモロコシが順調に輸出された結果である。輸出先第1位の中国向けは前年比44%減の441万トンとなった。一方、例年輸出量の少ないルーマニアやポーランドなどウクライナの隣国向けには、それぞれ354万トンおよび210万トンと前年を大幅に上回る量のトウモロコシが輸出された。また、小麦や大麦の輸出は大きく前年割れしており、これらは冬作の主要生産地域がロシアの侵攻地域と一部重なった影響と考えられる。
3月8日の米国農務省(USDA)の需給予測によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のウクライナのトウモロコシ生産量は、前年比20%減の2700万トンと見込まれている。なお、小麦と大麦の生産量は、それぞれ2100万トン(同25%減)および610万トン(同30%減)と見込まれている。
(注2)連帯レーンについては、海外情報「欧州委員会、ウクライナ産農産物の輸出支援策を発表(EU)」を参照されたい。