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2022/23年度の生乳生産量は4〜6%減少の見込み(豪州)

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 豪州の酪農業界団体であるデイリー・オーストラリア(DA)は2023年3月、最新の酪農の生産見通しとなる「Situation and Outlook(March 2023)」を公表した。
 本報告書はDAが年4回公表しているもので、国内外の生乳需給や経済情勢など、豪州の酪農・乳業に影響を与える複数の指標について現状と見通しを整理している(概要:表)。
表 概要
 2022/23年度(7月〜翌6月)の豪州の生乳生産量見込みについて、前回の報告書(22年12月)では具体的な数値で示されることはなかったが(注1)、今回の報告書では、前年度比で4〜6%減少し、800万〜820万キロリットル(824万〜845万トン相当)になると見込んでいる。この要因としては、肉牛価格や地価の高騰、労働力不足などの「pre−existing pressures(既存の圧力)」に加え、生乳生産量のピークを迎える春期(南半球である豪州では9〜11月頃が春となる)の多雨および洪水被害が深刻であったことを挙げている。しかし同時に、22年12月の生乳生産量が急激に回復したこと(同年11月:前年同月比9.7%減、同年12月:同6.5%減)を挙げ、酪農家や加工業者などの関係者が課題に適切に対応し、被害を最小限に留めた結果だとしている。その分析を裏付けるように、23年1月の生乳生産量は、前年同月比3.6%減にまで回復している(図)。

(注1)詳細は、海外情報「2022/23年度の生乳生産量は減少の見込み(豪州)」を参照されたい。
図 生乳生産量の推移
 一方で、同年3月に豪州農業資源経済科学局(ABARES)により開催された豪州需給観測会議では、同年度の生乳生産量について、主要酪農地帯での長雨や洪水の影響などから804万キロリットル(828万トン相当、前年度比6%減)になるとの見通しが示された(注2)。さらに現地報道では、30年振りに800万キロリットルの大台を下回るとの予測も出ている(注3)など、今後の生乳生産の動向に注目が集まっている

(注2)当該会議の概要については、「畜産の情報」2023年5月号で掲載予定。
(注3)詳細は、「畜産の情報」2023年4月号「生乳生産量、30年ぶりの800万キロリットル台割れの懸念」を参照されたい。
【阿南 小有里 令和4年3月29日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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