米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年4月11日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億4450万トン(前年度比6.0%減)と前月から302万トン下方修正され、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。地域別に見ると、アルゼンチンやEUなどで前月から下方修正された。アルゼンチンでは猛暑と干ばつが続き、3月下旬に局地的な降雨があったものの、作付面積全体の3分の2を占める遅播きトウモロコシの単収減により、前月から300万トン下方修正されて3700万トン(同25.3%減)と前年度から大幅に減少すると見込まれている。また、EUではドイツとポーランドの生産量が上方修正されたものの、ハンガリー、イタリアおよびブルガリアの生産量の下方修正がそれを上回った。
輸入量は、世界全体で1億7397万トン(同5.8%減)と前月から51万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、減産見込みを受けてEUやウルグアイなどで前月から上方修正されたものの、飼料用需要の減少が予測されるエジプトや、メキシコからの輸入量の減少が見込まれるベネズエラで前月から下方修正された。
消費量は、世界全体で11億5606万トン(同3.9%減)と前月から69万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国は前月から据え置かれ、米国などで下方修正された。
輸出量は、世界全体で1億7379万トン(同15.5%減)と前月から92万トン下方修正され、前年度からかなり大きく減少し、20/21年度の水準も下回ると予測されている。地域別に見ると、増産が見込まれるロシアや、黒海穀物イニシアティブ
(注)の延長を受けて引き続き黒海経由の安全な輸出が可能となったウクライナの輸出量が前月から上方修正された。一方で、減産が見込まれるアルゼンチンやセルビアなどの輸出量が減少した。
この結果、期末在庫は2億9535万トン(同3.8%減)と前月から111万トン下方修正され、引き続き3億トンを下回ると見込まれている。
(注)ウクライナとロシアが国連とトルコの仲介の下で署名した穀物と肥料の安全な輸出航路の確保に関する協定であり、22年7月から実施され、今回で2度目の延長となる。詳細については、海外情報「ウクライナ産穀物の動向〜黒海穀物イニシアティブの延長〜(ウクライナ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003485.html)を参照されたい。