乳製品取引価格、主要4品目で上昇も不透明な状況が続く（NZ）

　2023年4月18日に開催されたGDT^（注1）の1トン当たりの平均取引価格は、市場アナリストらの予測に反し、主要4品目すべてで前回開催（4月4日）を上回った（表、図1）。
　全乳製品の平均取引価格は、（1）ウクライナ情勢の長期化（2）米国など北半球を中心とした世界の生乳生産量の増加（3）最大の乳製品輸入国である中国での需要低迷ーなどを理由に22年3月をピークに下落傾向で推移しており、前回開催時（4月4日）には同3227米ドル（43万4128円：1米ドル＝134.53円^（注2）、前年比35.2％安、前回比4.0％安）と20年12月以来の最安値を記録していた。
　今回の結果についてニュージーランド証券取引所（NZX）は、「GDT価格は前回開催から横ばいで推移すると予測していたが、予想外の結果になった」とした一方で、乳製品市場のファンダメンタルズ（需給要因）に大きな変化は見られないため、今回の価格上昇は一過性である可能性が高く、先行きは依然として不透明であると報告している。

（注1） グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
（注2） 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年3月末TTS相場。

　また、同国乳業最大手のフォンテラ社は4月3日、乳製品国際相場の下落傾向を背景に、22/23年度（6月〜翌5月）の生産者支払乳価を生乳の固形分^（注3）1キログラム当たり平均8.3NZドル（711円：1NZドル＝85.71円^（注2））に引き下げると発表した（図2）。前回公表時（2月24日）から同0.2NZドル（17円）の引き下げとなり、今回で4回連続の引き下げとなった。同社の最終的な生産者支払乳価は、毎年、年度終了後の9月に発表されているが、NZXは、すでにシーズン終盤を迎えていることから、現在までに発表されている乳価予測に大きな変動が生じることはないと見込んでいる。

（注3）：乳脂肪分および乳たんぱく質