米食肉業界、食肉消費に関する調査結果を公表(その1:インフレの影響)(米国)
北米食肉協会(NAMI)と食品産業協会(FMI)は3月6日、食肉消費に関する消費者アンケート調査報告書「パワー・オブ・ミート2023」を公表した。この中で、インフレの影響を受けた2022年の食肉購買行動の変化についても、世代別にとりまとめられている。本調査は22年12月に18歳から75歳までの1607人の消費者を対象として実施された。
22年における食肉製品の小売売上額は、前年比5.7%増の871億米ドル(11兆7176億円:1米ドル=134.53円(注))と増加した。内訳を見ると、生鮮食肉が同4.6%増の577億米ドル(7兆7624億円)、加工食肉が同8.0%増の294億米ドル(3兆9552億円)とそれぞれ全体の66.2%、33.8%を占めた(表1)。特に生鮮食肉売上額の53.0%を占める牛肉は、同1.0%増の306億米ドル(4兆1166億円)と好調を維持した。一方、販売量は、食肉価格の高騰を受け、消費者の節約志向の高まりから、ほとんどの製品で減少した(表1)。
注:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年3月末TTS相場。
その節約方法として、食肉購入量の変更、購入する食肉種類の変更、部位・カットの変更などの回答が多くみられた(図1)。食肉購入量の変更には、購入量の単純削減のほか、購入する食肉製品のパックサイズの変更も含まれている。短期的な支出を減らすための小型パックの購入や、長期的な支出を減らすための大型パックの購入など、世代や所得層によってその傾向が分かれた。小型パックの購入者は高齢層と低所得層で多く、大型パックの購入者は若年層と高所得層で多い傾向がみられた(表2)。
また、「外食やデリバリーの頻度を減らし、家庭でのレストランメニューの再現を試みることが多くなっているか」との問に対しては、87%が「よくある」「たまにある」と回答した。特に高所得層と若年層にその傾向がみられ、本報告書では高所得層をターゲットとした高級食肉製品の販売の機会であると分析している(図2)。
(注)Z世代:18歳〜20代前半、ミレニアル世代:20代後半〜30代、X世代:40代〜50代前半、ブーマー世代:50代後半〜75歳
食肉製品を購入する際に重視する要素にもインフレの影響が表れている。「製品の品質・見た目」が前年調査時から減少する一方、「1ポンド当たりの価格」および「製品価格」は増加した(表3)。また、家庭内で調理する頻度が増加したことで「調理のしやすさ」も増加している。
【調査情報部 令和5年5月18日発】
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