米食肉業界、食肉消費に関する調査結果を公表 (その3:健康・持続可能性・AWに関する消費者動向)(米国)
北米食肉協会(NAMI)と食品産業協会(FMI)は3月6日、食肉消費に関する消費者アンケート調査報告書「パワー・オブ・ミート2023」を公表した。この中で、2022年の健康・持続可能性・アニマルウェルフェア(AW)に関する消費者動向について、とりまとめている。本調査は22年12月に18歳から75歳までの1607人の消費者を対象として実施された。
本報告書によると、消費者の74%は食肉が健康的な食生活に不可欠であると回答しており、前年(73%)からわずかに増加した。世代別に見るとZ世代(90年代後半から2000年代前半に生まれた世代)が65%と他の世代と比較してやや少ないものの、すべての世代で健康面に対する食肉の必要性に肯定的な回答が多い結果となった(図1)。
一方で、消費者の33%は食肉消費量を積極的に減らそうとしていることも分かった(図2) 。この水準は過去数年間大きな変動はないが、その理由を「食肉価格の高騰」とする消費者が52%と、19年の調査時から大幅に増加した(表)。また、19年と比べるとやや減少しているものの、赤身肉、鶏肉を食べることによる健康不安(33%、26%)、抗生剤・ホルモン剤等への懸念(28%)、AWへの配慮(25%)なども理由に挙げられている。
さらに、消費者が食肉購入時に注意している点を見ると、「自分・家族にとってより良い製品であること」が62%と最も多く、「家畜に配慮していること」が37%、「地球・環境に配慮していること」が35%、「生産者・労働者に配慮していること」が34%と続いた(図3)。本報告書では、消費者は、家畜、地球・環境、生産者・労働者への配慮をそれぞれ単独で優先するのではなく、自分や家族にとってより良い製品として、それらに配慮している製品を選択する傾向にあると分析している。
本報告書では、消費者にとってAWへの配慮が意味することについても集計している(図4)。消費者が抱くイメージは多岐にわたるが、「と畜時の人道的な扱い」が46%と最も多い結果となった。家畜飼養時としては、「舎外へのアクセス」「飼養空間の広さ」、「飼料の種類」などが挙げられた。
また、米国産食肉について、家畜飼養時にAWが配慮されていると考えている消費者は52%と半数を超えたが、26%が「わからない」、22%が「そう思わない」と回答した(図5)。さらに、消費者の小売店に対するAWの認識を見ると、「AWの評価や認証は有益」と回答した消費者は58%と半数を超えた一方で、「小売店が十分な情報を提供していると思わない」と回答した消費者が33%にのぼるなど、食肉サプライチェーンにおけるAWなどに関する情報の透明性の確保が課題とされた(図6)。
【調査情報部 令和5年5月18日発】
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