米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年5月2日、「2022 U.S. Agricultural Export Yearbook」を公表した。本書は、USDA/FASが米国商務省(USDC)の統計データを基に作成したものであり、これによると、22年の米国の農産物・食品輸出額は、穀物や畜産物相場の高騰を受けて1960億ドル(26兆4855億円(注)、前年比11.0%増)と過去最高を記録した(表1)。
品目別に見ると、輸出額第1位の大豆は、ロシアによるウクライナ侵攻や南米地域での生産量の減少などから価格が上昇し、344億ドル(4兆6485億円、同25.5%増)と大幅に増加した。輸出先別では、最大の仕向け先である中国向けが179億ドル(2兆4188億円、同26.6%増)と全体の5割以上を占めた。これは、同国でのアフリカ豚熱や新型コロナウイルス感染症の影響低下に伴う需要の回復によるものである。そのほか、主要輸出先であるメキシコ、EU、エジプト、日本向けも前年を上回り過去最高を記録した。23年の輸出額は、米国内の堅調な需要と減産により22年を下回ると予測される。
輸出額第2位のトウモロコシは、大豆と同様相場が高騰する中で、中国向けが過去最高の53億ドル(7162億円、同4.0%増)に達するなど、過去2番目の高水準となる186億ドル(2兆5134億円、同0.1%減)となった。23年の輸出額は、ブラジルとの競合により、22年の水準を下回ると予測される。
牛肉は、国内生産量が増加する中で中国や韓国向けなど東アジア地域への輸出量が増加し、117億ドル(1兆5810億円、同11.0%増)と過去最高を記録した。23年の輸出額は、牛群縮小による減産のため、22年の水準を下回ると予測される。
豚肉は、主要輸出先である中国の国内生産量の回復やEUなど他国との輸出競争の激化により、77億ドル(1041億円、同5.3%減)とやや減少した。23年の輸出額は、EU域内での需給ひっ迫などを反映して、堅調に推移すると予測される。
乳製品は、世界的に需要が高まる中で、米国産の価格優位性が高まったことで95億ドル(1284億円、同24.9%増)と大幅に増加した。特に乳製品輸出額の4分の1以上を占めるメキシコ向けは、脱脂粉乳とチーズの輸出増などにより、24億ドル(324億円、同36.7%増)と大幅に増加した。23年の輸出額は、他の輸出国との競合などを踏まえ、22年の水準を下回ると予測される。
(注)1米ドル=135.13円。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末TTS相場。