2022年6月末の飼養頭数、肉用牛および乳用牛ともに減少(NZ)
ニュージーランド統計局(Stats NZ)は5月22日、2022年の農業生産統計調査結果を公表した。
これによると、22年6月末時点の肉用牛飼養頭数は389万8000頭(前年比1.7%減)と、記録的な牛肉価格の上昇を受けて高水準で推移した前年をわずかに下回った(図1)。同国の肉用牛飼養頭数は、より収益性の高い酪農部門への転換が進んだことで、1970年代の630万頭をピークに右肩下がりで推移し、16年には歴史的な低水準となる353万3000頭(同0.3%減)を記録している。Stats NZによると、16年以降は牛肉価格が好調に推移したことで、生産者の増頭意欲が回復し、近年は390万頭前後で安定的に推移しているとしている。
また、乳用牛の飼養頭数は613万6000頭(同0.8%減)と前年をわずかに下回った(図2)。同国の乳用牛飼養頭数は、肉用牛の飼養頭数に反比例する形で、16年を境に減少傾向にある。同国の酪農団体であるDairy NZと家畜改良公社(LIC)が共同で実施した統計調査結果(注1)によると、2021/22年度(6月〜翌5月)は、乳業各社の生産者支払乳価(生乳の固形分(注2)1キログラム当たり平均)が9.52NZドル(804円:1NZ=84.46円(注3))と過去最高を記録したものの、新型コロナウイルス感染症に起因する国際的なサプライチェーンの混乱やインフレ圧力の増大、悪天候などが生産者の生産意欲を低下させたとしている。
(注1)「New Zealand Dairy Statistics 2021-2022」
(注2)乳脂肪分および乳たんぱく質。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末TTS相場。
【工藤 理帆 令和5年5月31日発】
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