豪州最大手のサプート・デイリー・オーストラリア社(表中の「豪州サプート社」)は、新年度当初乳価を同8.9〜9豪ドル(828〜838円)と提示した。また、ニュージーランドの乳業最大手フォンテラ社
(注5)の豪州法人である豪州フォンテラ社は、同8.65豪ドル(805円)と提示している。現地報道によると、これらの価格は、22/23年度乳価と比較して約10%の引き下げに相当するとしている。豪州フォンテラ社は新年度当初乳価に関し、過去1年間で17%も下落した乳製品国際価格よりも高く設定されているとコメントしている。これに対し、酪農家により構成され、同社と生乳の供給条件について交渉を行う豪州フォンテラサプライヤー協議会(FASC)は、今回発表された当初乳価が見直されない場合、タスマニア州で生乳の固形分を年間30万キログラム生産する平均的規模の酪農家では、年間約27万豪ドル(2513万円)の収入減になるとしている。また、ビクトリア州酪農家連合は、昨今の酪農家の生産コストが上昇している中で、これほどまでに低く当初乳価が提示されたことに失望したとしている。
このほか、豪州資本でチーズを主に生産するベガ社は同8.8豪ドル(819円)、中国大手の蒙牛乳業傘下のバラ社は同8.5〜9豪ドル(791〜838円)、フランス資本で世界最大の乳業であるラクタリス社の豪州法人ラクタリス・オーストラリア社(表中の「豪州ラクタリス社」)は同8.67豪ドル(807円)などとなっている。
現地報道では、昨今の生産コスト上昇を考慮すれば、同10豪ドル(931円)近くまで引き上げることが妥当であり、適切な乳価設定は既存酪農家の離農回避につながるだけでなく、新規参入を促すインセンティブになるとする酪農家のコメントを紹介している。
(注5)ニュージーランドのフォンテラ社の当初乳価については、海外情報「フォンテラ社、22/23年度乳価の引き下げと23/24年度当初乳価を発表(NZ)」を参照されたい。