中国農業展望報告(2023−2032)を発表(砂糖編)(中国)
最終更新日:2023年6月23日
中国農業農村部は2023年4月20日および21日、中国農業展望大会を開催し、今後10年間の農業を展望する「中国農業展望報告(2023−2032)」を発表した。同大会は14年から毎年開催されており、今回は、22年の総括と32年度までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。本稿ではこの中の砂糖について紹介する。なお、各砂糖年度は10月〜翌9月である。
1.2021/22年度の砂糖需給動向
糖料作物(サトウキビおよびてん菜)の作付面積は、147万ヘクタール(前年度比0.8%増)とわずかに増加した。このうち、サトウキビが約128万ヘクタール(同2.4%減)とやや減少し、てん菜が約19万ヘクタール(同31.6%増)と大幅に増加した。
砂糖生産量は、主産地である広西チワン族自治区や雲南省での降雨や霜による生育不良、かんきつ類やバナナなどの作物との競合、栽培コストの上昇などにより、956万トン(同10.4%減)と前年度からかなりの程度減少した。
輸入量は、国産と外国産の価格差縮小をはじめ、関税割当枠外の砂糖価格が上昇し輸入砂糖の利益率が低下したこと、また国内需要が減少し、精製糖工場の生産・調達意欲が弱まったことなどから、533万トン(同15.9%減)と前年からかなり大きく減少した。
消費量は、国内総生産の伸び率が予想を下回ったことをはじめ、人口のマイナス成長や代替市場の拡大、新型コロナウイルス感染症の局所的な再発などから、1540万トン(同0.6%減)とわずかに減少した。
2.2022/23年度の砂糖需給動向予測
糖料作物の作付面積は、生産コストの上昇や栽培効率の低下、競合作物の影響などにより、142万ヘクタール(同3.5%減)とやや減少が見込まれる。
砂糖生産量は、国内で最もサトウキビ栽培の盛んな広西チワン族自治区での年初の天候不順を受け、サトウキビ生産量が予想以上の割合で減少したことで、933万トン(同2.4%減)とわずかな減少が見込まれる。
輸入量は、需給ギャップが意識される中、国際価格の高騰や精製糖工場の収益低下などにより、500万トン(同6.2%減)とかなりの程度の減少が予測される。
消費量は、コロナ禍からの経済回復や家庭での砂糖消費の増加などから、1560万トン(同1.3%増)と見込まれる。
3.2031/32年度までの砂糖需給動向予測
今後約10年間で、優良品種の普及や生産工程全体の機械化などによる糖料作物の単収向上が見込まれており、砂糖生産量は、2022/23年度から31/32年度にかけて年平均0.8%の割合で増加し、31/32年度には1104万トンに達すると予測される。
消費量は、22/23年度から31/32年度にかけて年平均0.7%の割合で増加し、31/32年度には1644万トンに達すると予測される。しかし、人口の減少や高齢化社会の進行、健康志向の高まりなどにより、今後約10年間の増加率は落ち着いたものになると見込まれる。
輸入量は、市場への安定供給や国内砂糖産業の発展のため、関税割当枠の管理など現行の砂糖輸入政策を維持しつつも、農村部での消費増加や食品・飲料産業の急速な発展なども予想されることから、22/23度から31/32にかけて年平均0.4%の割合で増加し、31/32年度には587万トンに達すると見込まれる。
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