現地報道によると、ウクライナのヴァスコフインフラ大臣代理は、同イニシアティブ下であっても、オデーサ港(近港のチョルノモルスク港とイズニー港を含む)への入船が1日に1〜2隻程度であったことに言及した。これまでもウクライナは、同イニシアティブに基づいてトルコのイスタンブールに設置された共同調整センター(JCC)での検査が、ロシアによって遅延させられていることを度々非難していた。
同イニシアティブの停止に関し、現在、ロシアの関与がなくとも、トルコ、国連およびウクライナの協力により、黒海回廊の開放を継続するといった代替案も検討されている。
同イニシアティブ開始後の2022年8月〜23年4月のウクライナのトウモロコシ、小麦、大麦の輸出量は、19年〜22年の同期間平均比3.8%減の3994万トンであった(図)。同国の穀物輸出については、黒海穀物イニシアティブのほか、欧州委員会の輸入関税停止支援も含めた連帯レーン
(注3)も活用されており、22年8月〜23年4月の輸出量のうち、連帯レーンを利用したポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアと近隣のEU加盟国であるブルガリア(近隣5カ国)向けは、1130万4000トンと全体の3割弱を占めている。
(注3)連帯レーンについては、海外情報「欧州委員会、ウクライナ産農産物の輸出支援策を発表(EU)」を参照されたい。