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欧州委員会、生乳・乳製品の短期的需給見通しを公表(EU)

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 欧州委員会は2023年7月14日、農畜産物の短期的需給見通し(注)を公表した。このうち、生乳・乳製品の需給見通しの概要について紹介する。
(注)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年3回(3月、7月、10月)、中期的需給見通しを年1回(12月)公表している。

生乳

 2023年の生乳出荷量は前年比0.3%減の1億4430万トンで、前回の見通しから0.1ポイント下方修正された(表1)。23年1〜4月の生乳出荷量は前年同期比0.8%増となっているが、乳価の下落が続く中で生産コストが一時期より軟化しつつあるも依然として高い水準にある。このため、夏以降は経産牛の淘汰(とうた)が進み、23年12月時点の経産牛飼養頭数が同1.0%減の1960万頭と予測されていることが今回の下方修正の要因である。一方で、天候が平年並みであれば、1頭当りの年間乳量はわずかに増加(同0.7%増)し、加えて生乳の品質の向上に寄与する可能性を示唆している(表1)。
図1

バターおよび脱脂粉乳

 前回3月時の見通しでは、2023年のバターの生産量は前年比0.2%減、輸出量が同2.0%増と見込まれていたが、今回の見通しでは生産量が前年並みの230万9100トン、輸出量が4.0%増の25万7100トンと上方修正された(表2)。同じく脱脂粉乳についても、生産量が同0.2%減、輸出量が8.0%増と見込まれていたが、今回の見通しでは生産量が前年並みの143万8000トン、輸出量が10.0%増の78万1800トンに上方修正された(表3)。これは、乳製品価格が23年春にかけて下落したことで、主要輸出競合国との価格差が均衡し、EU産の引き合いが回復したことによる。
図2
図2

チーズおよびホエイ

 前回3月時の見通しでは、2023年のチーズ生産量が前年比0.7%増、輸出量が同2.0%増と見込まれていが、今回の見通しでは生産量が同0.6%増の1037万4900トン、輸出量も同1.0%増の134万9100トンと共に下方修正された(表3)。同じくホエイについても、生産量が同1.0%増、輸出量が同4.5%増と見込まれていたが、今回の見通しでは生産量が同0.7%増の216万3700トン、輸出量が同3.5%増の68万6700トンと下方修正された。これは、生乳生産量の見通しの下方修正に加え、バターおよび脱脂粉乳への仕向け量が上方修正されたことによる。
表4
図3
【上村 照子 令和5年7月28日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397