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2023年の加工用トマト生産量はかなりの程度増加見込み(EU)

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最終更新日:2023年8月10日

 欧州委員会は2023年7月14日、農畜産物の短期的需給見通し(注1)を公表した。このうち、日本のトマト加工品の主要輸入先であるEUのトマト需給について概要を紹介する。
 
(注1)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年3回(3月、7月、10月)、中期的需給見通しを年1回(12月)公表している。

加工用トマト

 2023年の加工用トマト生産量は、前年比8.4%増の約1070万トン、消費量は同8.9%増の878万トンとかなりの程度増加が見込まれる(注2)
 また、輸入量は同3.0%減の250万トンとなるものの、直近5年間の平均に比べわずかな増加が見込まれている。従来の輸入先であるウクライナでは減産が予想されることで、同国からの輸入は低水準となるが、トマトペーストなど一部製品については生産の回復から同国からの輸出増が見込まれている。
 一方、輸出量は同0.7%増の440万トンとわずかな伸びが見込まれており、生産量増加分がほぼ域内に仕向けられる形となっている。
 
(注2)消費量には在庫量が含まれ、前年の在庫が少なかったことから、在庫として補充されたものも含まれることに留意する必要がある。
表2 生鮮トマトの需給

生鮮トマト

 2023年の生鮮トマトの生産量は、前年比0.8%減の630万トンとわずかな減少が見込まれている(表2)。1人当たり消費量は前年と比較して横ばいとなるが、直近5年間平均と比較するとやや減少が見込まれる。小売価格が2月をピークに下落しているものの、依然として高水準であることが背景にある(2月は100キログラム当たり266ユーロ(4万1722円、1ユーロ=156.85円(注3))、5月は同159ユーロ(2万4939円))。ただし、ミニトマトの消費は全般的に増加傾向にある。
 輸入量は、同7.0%増の85万トンと見込まれている。22年にはEUの生鮮トマト輸入の70%がモロッコから、25%がトルコからであった。
 一方、輸出は減少が見込まれており(同5.5%減)、減少傾向にあった直近5年間の平均を2割下回る水準となる。EUにとって最大のトマト輸出先である英国では、EU以外の第三国からの輸入が増加していることや、EUの輸出業者が英国市場にアクセスする際の通関や検疫の煩雑さも要因に挙げられている。また、アジアや米国、カナダ向けに関しては、輸送コストが高いことなどが輸出拡大の妨げとなっているとされている。
 ただし、生産コストは上昇しているものの、生産者価格の上昇によってその影響は緩和されている。また、北欧および東欧諸国では、エネルギーコストの高騰対策として低温期の作付けを遅らせたことから、現時点の出回り量は多くないものの、夏に入ると生産が回復し、供給が増加すると見込まれている。
 
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。
表2
【調査情報部 令和5年8月10日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397