米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2023年8月)
世界の生産量および期末在庫は下方修正されたものの、前年度から増加
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年8月11日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億1350万トン(前年度比5.4%増)と前月から1097万トン下方修正されたものの、前年度をやや上回り、過去2番目の生産量が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナでは7月〜8月初めにかけて天候に恵まれ、収量の増加見込みを受けて前月から上方修正された。一方で、米国や中国、EUなどでは下方修正された。中国北東部では、7月末から8月初めにかけて台風の影響による大雨・洪水に見舞われたことで生産量の減少が見込まれているほか、EUでは、特にハンガリー、ルーマニア、ドイツ、イタリアで熱波の発生などを受けて収量の減少が見込まれている。
輸入量は、世界全体で1億8711万トン(同7.6%増)と前月から129万トン下方修正された。地域別に見ると、カナダなどで上方修正されたものの、エジプトやアルジェリアでは下方修正された。
消費量は、世界全体で12億037万トン(同3.1%増)と前月から628万トン下方修正された。地域別に見ると、主要消費国である中国が据え置かれた中で、最大の消費国である米国は前月から114万トン下方修正された。
輸出量は、生産量が前月から下方修正された米国やEUの輸出量の減少などが反映され、世界全体で1億9619万トン(同10.5%増)と前月から207万トン下方修正された。
この結果、期末在庫は3億1105万トン(同4.4%増)と前月から307万トン下方修正されたものの、前年度からやや増加すると見込まれている。
単収が下方修正されたものの、生産量は過去2番目の高水準
USDA/WAOBは同日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
生産量は、単収の減少見込みを受けて151億1100万ブッシェル(3億8383万トン(注1)、前年度比10.1%増)と前月から2億900万ブッシェル(531万トン)下方修正されたものの、16/17年度に次ぐ過去2番目の生産量が見込まれている。
消費量は、123億4000万ブッシェル(3億1345万トン、同2.3%増)と前月から4500万ブッシェル(114万トン)下方修正された。用途別に見ると、でん粉やグルコース、デキストロースなどその他工業向けや飼料など向けでの利用の減少が見込まれている。
輸出量は、20億5000万ブッシェル(5207万トン、同26.2%増)と前月から5000万ブッシェル(127万トン)下方修正されたものの、前年度から大幅に増加すると見込まれている。
期末在庫は、22億200万ブッシェル(5593万トン、同51.1%増)と前月から6000万ブッシェル(152万トン)下方修正されたものの、前年度から大幅に増加し、高水準が見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、15.3%(同4.7ポイント増)と引き続き前年度を上回る水準が予測されている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.90米ドル(696円。1キログラム当たり27.4円:1米ドル=141.97円(注2)、同25.8%安)と前年度からは大幅に下落すると見込まれている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。
【針ヶ谷 敦子 令和5年8月21日発】
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