2022/23年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第11回)を公表 (ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は8月10日、2022/23年度第11回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
第2期作トウモロコシ生産量は1億トンを超える見込み
2022/23年度のトウモロコシ生産量は、前回より219万4600トン上方修正され、1億2996万1600トン(前年度比14.9%増)と前年度をかなり大きく上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった21/22年度の生産量を更新すると見込まれている。
全生産量の2割強を占める第1期作の生産量は、2737万3200トン(同9.4%増)と前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。これは、作付面積が前年を下回ったものの、ほとんどの地域で天候に恵まれ、単収が1ヘクタール当たり6.2トンとこれまでの最高であった18/19年度に次ぐ水準になったためである。第1期作の収穫作業は作付面積の99.1%で終了している。
また、全体の4分の3強を占める第2期作は、前回より214万600トン上方修正され、1億18万3600トン(同16.6%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。第2期作の収穫作業は、作付面積の54.7%で終了しており、前年同期(71.7%)と比べて17ポイント程度遅れている。これは、(1)一部地域で大豆の収穫が遅れたこと、(2)穀物の成熟期に低温となったこと、(3)トウモロコシ市場価格が下落する中で生産者がコストを削減するため、穀物の水分を自然乾燥させる方法をとった結果、貯蔵施設が不足したためである。
地域別に見ると、最大の生産州である中西部マットグロッソ州は、天候に恵まれ単収が増加し、生産量が前回より143万6600トン上方修正された。一方、収穫作業は、生産量の増加や収穫作業が集中したため、輸送施設や保管施設が不足し、収穫作業の中断を余儀なくされる状況がみられた。
同じく全生産量の2%程度を占める第3期作は、240万4800トン(同8.7%増)と前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。肥料など生産コストの上昇により作付面積が前年度より減少したものの、生育状況は良好であり単収が前年度を上回ると見込まれている。第3期作の作付けはすべての地域で終了している。
大豆生産量はこれまで最大の20/21年度の記録を10.9%上回る見込み
2022/23年度の大豆生産量は、1億5460万3400トン(前年度比23.1%増)と前年度を大幅に上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった20/21年度の記録を10.9%上回ると見込まれている。これは、堅調な需要に加え、南部リオグランデドスル州を除き天候に恵まれたことで、作付面積、単収とも前年度の実績を上回ったためである。大豆の収穫作業はすでにすべての地域で終了している。
【井田 俊二 令和5年8月23日発】
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