畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2023年 > 2024年の牛肉生産量は増加見込み(メキシコ)

2024年の牛肉生産量は増加見込み(メキシコ)

印刷ページ
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年8月3日、2024年のメキシコ肉牛・牛肉業界の見通しを発表した。これによると、24年の牛肉生産は飼料価格高騰の緩和や、国内外の堅調な需要により増加するものの、通貨が米ドルに対しペソ高で推移していることにより、生産量、輸出量ともわずかな増加にとどまると予測されている。以下にその概況を報告する。

1.肉牛の展望

(1)飼養頭数は1.5%増

 2024年1月の牛総飼養頭数は、生体の輸出需要が堅調に推移していることなどから1811万5000頭(前年比1.5%増)とわずかに増加が予測される。また、同年の子牛出生頭数についても、865万頭(同2.1%増)とわずかに増加が予測される(表1)。23年の天候について、ハリスコ州など一部地域では深刻な干ばつに見舞われているものの、全体として影響は少なく、水や飼料が確保されていることから、24年も牛群拡大は続くとみられる。

(2)と畜頭数は2.0%増

 2024年のと畜頭数は、国内外の堅調な需要から705万頭(前年比2.0%増)とわずかに増加が予測される(表1)。
 23年前半は、飼料価格の高騰や、輸出需要の低迷により前年比で減少傾向にあったものの、国内需要の高まりを受け、年後半にはと畜頭数が増加し、23年のと畜頭数は同2.0%増の691万5000頭と見込まれる。

(3)生体牛輸出は9.1%増

 2024年の生体牛輸出頭数は、120万頭(前年比9.1%増)とかなりの程度増加が予測される(表1)。メキシコの生体牛輸出はほとんどが米国向けであるが、米国の牛群縮小が続く中、特に南部において需要が増加するとみられる。
表1 牛飼養動向の推移

2 牛肉の展望

(1)生産量は0.9%増

 2024年の牛肉生産量は過去最高の224万トン(前年比0.9%増)とわずかに増加すると予測される(表2)。米国から輸入している飼料用トウモロコシの価格高騰の緩和などにより生産コストが比較的抑えられることに加え、観光需要や輸出需要にけん引される形で増産が続くとされている。

(2)消費量は0.8%増

 2024年の牛肉消費量は200万トン(前年比0.8%増)とわずかに増加すると予測される(表2)。人口の増加に加え、賃金が上昇傾向にあるとともに、畜産物価格のインフレが緩やかになり(図)、牛肉消費の意欲が高まっていることが背景にある。23年1月には最低賃金が2割引き上げられ、今後も牛肉消費の微増が見込まれている。

(3)輸入量は横ばい

 2024年の牛肉輸入量は、17万5000トン(前年同)と横ばいで推移すると予測される(表2)。輸出量の伸びを生産量の増加が上回ることにより、国内の供給が安定するためとしている。一方、23年はペソ高により輸入牛肉が安価となったことや、旺盛な需要により前年比で増加すると見込まれ、23年1月〜4月の実績は前年比20%増と大幅に増加している。

(4)輸出量は1.2%増

 2024年の牛肉輸出量は、連邦検査対応(TIF)の指定を受けて輸出対応可能となる食肉処理施設が増加する中、41万5000トン(前年比1.2%増)とわずかな増加が予測される(表2)。また、主な輸出先は米国、日本、カナダおよび韓国であるが、中東やアジア向けを念頭にハラル認証取得を進めており、今後は輸出先の多様化を目指すとしている。
表2 牛肉需給の推移
図 畜産物の物価上昇率の推移
【小林 大祐 令和5年8月31日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533