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2023/24年度の砂糖およびエタノールは増産見込み(ブラジル)

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最終更新日:2023年9月8日

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は8月17日、2023/24年度(4月〜翌3月)第2回目のサトウキビ生産状況等調査報告を公表した。本報告は、同年度のサトウキビ、砂糖およびエタノールの生産予測などを四半期ごとに公表するものである。

サトウキビ生産量は、かなりの程度増加の見込み

 2023/24年度のサトウキビの収穫面積は、829万ヘクタール(前年度比0.1%減)と横ばいでの推移が見込まれている(表1)。収穫面積の約9割を占める中南部地域では734万ヘクタール(同0.4%減)と横ばい見通しである一方、北東部地域では94万ヘクタール(同2.4%増)とわずかに増加が見込まれる。
 単収は、多くの産地で前年度より天候が良好となり、年初に続いた大雨が成長期のサトウキビに良い影響を与えたことから、1ヘクタール当たり78.8トン(同7.0%増)とかなりの程度増加が見込まれている。この結果、サトウキビ生産量は6億5295万トン(同6.9%増)と同じく増加が見込まれている。
 その一方、サトウキビの歩留まりの指標となるATR(注1)は、過度な降雨が成熟に影響を及ぼしたことから、平均で132.2キログラム(同0.9%減)とわずかな減少が見込まれている。

(注1)1トン当たりの平均回収糖分。ポルトガル語でAçúcar Total Recuperávelの略。
表1

砂糖生産量はかなり大きく、エタノール生産量は大幅増加の見込み

 砂糖生産量は、インドをはじめとした主要生産国での減産を背景とした世界的な供給不足懸念によるブラジル産砂糖の需要の増加や、ブラジルの多くの州でガソリンに対するエタノールの価格競争力が低下していることなどから、4089万トン(同11.1%増)とかなり大きな増加が見込まれており、CONABの報告で過去2番目に多い数値となっている(表2)。
 また、エタノールの生産量も338億2721万リットル(同9.2%増)とかなりの程度増加が見込まれている。内訳を見ると、同国内では輸出需要から砂糖の供給が優先されている状況にあるが、サトウキビの豊作を受け、サトウキビ由来のエタノール生産量は、277億2151万リットル(同4.5%増)とやや増加が見込まれている。また、トウモロコシ由来のエタノールの生産量も中西部地域での生産計画と設備投資が奏功し、61億570万リットル(同37.2%増)と大幅な増加が見込まれている。
表2

砂糖およびエタノールの輸出量はかなり大きく増加する見込み

 砂糖輸出量についてCONABは、ブラジル開発商工サービス省(MDIC)の公表データを引用し、主要国の減産などにより2023年4〜7月期の輸出量は920万トン(前年同期比13.5%増)とかなり大きく増加したと発表した。そのうち、粗糖の主な輸出先はサウジアラビア、インド、アルジェリア向けで、これらの3カ国で同国の輸出量の22.1%を占めている。また、バングラデシュ、中国、ナイジェリア、インドネシア向けの輸出量も多く、特にブラジルにとって重要な砂糖輸出先である中国向け輸出は、23年2月より停止していたが、4月より再開され、輸出量も徐々に増加している。さらに、砂糖の国際相場の上昇に伴い輸出額も増加しており、同期は約45億米ドル(6624億円:1米ドル=147.20円(注2))と前年同期比40%以上の増加となっている。
 また、同期のエタノールの輸出量も、約6億7490万リットル(同15.9%増)とかなり大きく増加した。ドル高で推移する為替相場や欧州を中心とした世界的な燃料問題などにより、ブラジル産エタノールが海外市場で価格優位性を確保できたことが増加につながったとみられる。主な輸出先は、韓国、米国、オランダ向けで、これらの3カ国で同国の輸出量の85.3%を占めている。

(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の8月末TTS相場1米ドル=147.20円を使用。
参考1
参考2
【峯岸 啓之 令和5年9月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
Tel:03-3583-9806