スウェーデン国立獣医学研究所(SVA)は9月6日、ストックホルムの北西145キロに位置するヴェストマンランド県ファゲルスタ(Fagersta)市(図)近郊で発見されたイノシシの死体から、アフリカ豚熱(ASF)ウイルスが検出されたと発表した。
これを受け、スウェーデン農業委員会は、ファゲルスタ市を含めた感染区域を設定し、感染区域内での許可のない狩猟、キノコ狩りやベリー摘み、人が集まる各種イベント、林業作業、リード(紐)なしの犬の散歩などの禁止を決定した。また、感染区域内で豚を飼育する者は、防疫対策を再確認し、病気の兆候や死亡頭数の増加が見られた場合は獣医師に連絡することとされている。
さらにSVAは9月9日および10日、感染区域内でイノシシの死体や射殺されたイノシシから新たにウイルスが検出され、感染の確定は7件になったと発表した。10日現在も集められたサンプルについて引き続き分析が行われており、感染件数はさらに増加する可能性がある。
SVAはウイルスの侵入経路は現在のところ不明としているが、欧州の他の感染地から離れた場所での発生であることから、人為的な要因で持ち込まれたものと推測している。
ファゲルスタ市は9月8日、「ASFの発生は信じられないほど悲しいことだ。この自治体のすべての市民に影響が及ぶことになる。感染の拡大を食い止めるには、全員が設定された禁止事項を守ることが重要である」と呼び掛けている。
スウェーデンは2022年、生鮮・冷蔵・冷凍あわせて1万8980トンの豚肉を輸出しており、23年1〜6月の同輸出量は1万970トンであった(表)。