米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2023年9月)
世界の期末在庫、生産量、輸入量、期末在庫は前回見込みから増加
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年9月12日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億1429万トン(前年度比5.1%増)と前月から79万トン上方修正され、前年度をやや上回り、過去2番目の生産量が見込まれている。地域別に見ると、米国の収穫面積とウクライナの単収の増加見込みを受け、前月より上方修正された。また、EUではフランスとブルガリアで減産が見込まれる一方で、ドイツで増産が見込まれ、EU全体としては、下方修正された。
輸入量は、世界全体で1億8712万トン(同6.6%増)と前月から1万トン上方修正された。地域別に見ると、EUは2400万トン(同2.0%減)、中国は2300万トン(同24.3%増)とそれぞれ前月から据え置かれた。
消費量は、世界全体で11億9977万トン(同2.8%増)と前月から60万トン下方修正された。地域別に見ると、主要消費国である米国および中国が据え置かれた中で、アルゼンチンが上方修正された一方、カナダおよびEUが下方修正された。
輸出量は、各地域とも前月から動きがなく、世界全体では1億9619万トン(同8.0%増)と据え置かれた。
この結果、期末在庫は3億1399万トン(同4.8%増)と前月から294万トン上方修正され、前年度からやや増加し、前々年度の水準になると見込まれている。
作付面積の拡大により、米国の生産量はさらに増加見込み
USDA/WAOBは同日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
生産量は、151億3400万ブッシェル(3億8442万トン(注1)、前年度比10.2%増)と前月から2300万ブッシェル(58万4000トン)上方修正され、16/17年度に次ぐ過去2番目の生産量が見込まれている。
消費量は、123億4000万ブッシェル(3億1345万トン、同2.6%増)とわずかに増加する見込みで、前月から据え置かれた。用途別では、前年度から特に飼料向けの数量がやや増加すると見込まれている。
輸出量は、20億5000万ブッシェル(5207万トン、同23.1%増)と前年度から大幅に増加する見込みで、前月から据え置かれた。
期末在庫は、22億2100万ブッシェル(5642万トン、同53.0%増)と前年度から大幅に増加する見込みで、前月から1900万ブッシェル(48万トン)上方修正された。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、15.4%(同4.8ポイント増)と前月から0.1ポイント増加し、昨年を上回る水準が予測されている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.90米ドル(721円。1キログラム当たり28.4円:1米ドル=147.20円(注2)、同25.2%安)と前年度からは大幅に下落すると見込まれている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末TTS相場。
【高田 勇一 令和5年9月21日発】
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