2023/24年度の農業総産出額、前年度比で大幅減も高水準(豪州)
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月5日、2023/24年度(7月〜翌6月)の農業総産出額などの見通しを公表した。
これによると、同年度の農業総産出額は796億3355万豪ドル(7兆7069億円:1豪ドル=96.78円(注))と見込まれ、過去最高であった前年度から13.7%の減少となる。また、農畜産物輸出額は653億8637万豪ドル(6兆3281億円)と見込まれ、同じく過去最高であった前年度から16.7%減の減少となる。ただし、前年度が記録的な高水準であったことから、いずれも過去3番目の高水準になると予測されている(図1)。
ABARESは、輸出額減少のほとんどは農作物産出額の減少に起因するとしており、その要因として、今後予想される乾燥条件により土壌水分が減少し、農作物の収量が減少することや、世界的な農作物生産量の増加により価格の低下が見込まれることを挙げている。特に、同国の2大穀物生産州であるニューサウスウェールズ州と西オーストラリア州では、冬作物の作付け期に当たる6月に乾燥したため、小麦を中心とした冬作物は昨年度比で収量の大幅な減少が見込まれている(図2)。
ABARESのグリーンビル事務局長は、「降雨量の多いラニーニャ現象からより乾燥したエルニーニョ現象に移行し、平年を下回る降雨量と気温の上昇により、前年の記録的な農作物収量から減少すると予想される」とコメントした。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末TTS相場。
農業総産出額の内訳を見ると、牛・子牛が130億4167万豪ドル(1兆2622億円、前年度比5.0%減)と最大で、次いで小麦が95億豪ドル(9194億円、同39.5%減)、果物・ナッツ類が67億9948万豪ドル(6581億円、同7.9%増)と続く(図3)。
このうち畜産については、生産量は増加するものの国内需要の減少と世界的な牛肉および羊肉の供給量の増加により、価格の下落が見込まれることから、産業界の産出額はやや減少すると予測されている。
また、農畜産物輸出額の内訳を見ると、牛肉・子牛肉が108億5458万豪ドル(1兆505億円、前年度比1.3%増)と最大で、次いで小麦が95億613万豪ドル(9200億円、同43.2%減)、綿花が43億7129万豪ドル(4231億円、同10.7%減)と続くと予測されている(図4)。
【平山宗幸 令和5年9月27日発】
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