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欧州委員会、砂糖の短期的需給見通しを公表(EU)

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最終更新日:2023年10月18日

 欧州委員会は2023年10月9日、EU農畜産物の短期的需給見通し(注1)を公表した。このうち、砂糖の需給見通しの概要について紹介する。
(注1)欧州委員会は、EU域内の農畜産物の数カ月程度の短期的需給見通し(年3回)と年1回の中期的需給見通しを公表している。

23/24年度の砂糖輸入量は、大幅に減少する見込み

 2023/24年度(10月〜翌9月)のEUのてん菜の作付面積は、148万ヘクタール(前年度比3.5%増)とやや増加すると見込まれる(図1)。これに関連して米国農務省は、EU最大のてん菜生産国であるフランスの作付面積について、ネオニコチノイド系農薬の緊急的使用禁止により前年比6%の減少と見込んでいる。しかし、春先の降雨による作付けの遅れを感じさせないほどの良好な雨と日照に恵まれたことや、ポーランドなどではトウモロコシや小麦に比べて収益性の高いてん菜の作付けが増加したことなどが、EU全体の作付面積の増加に寄与している。てん菜生産量は、作付面積や単収の増加により、1億900万トン(同4.9%増)とやや増加すると見込まれる。この結果、砂糖生産量は、てん菜生産量の回復のほか、てん菜の糖度の上昇などにより、1560万トン(同6.8%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。
 輸入量は、EU産砂糖の供給力が回復することから、2017年の生産割当廃止後に最大を記録した前年度の250万トンを下回る、190万トン(同24.0%減)と大幅な減少が見込まれる(図2)。その一方輸出量は、記録的な低水準から回復し、70万トン(同16.7%増)と大幅に増加すると見込まれる。
 消費量は、旺盛な加工製品の輸出需要に支えられることから、1670万トン(前年度同)と横ばいで推移すると見込まれる。
 この結果、期末在庫量は、140万トン(前年度同)と横ばいで推移すると見込まれる。
 23年8月時点のEU域内の砂糖価格は、1トン当たり819ユーロ(13万631円:1ユーロ=159.50円(注2)、前年同月比74.0%増)と引き続き高い水準で推移している(図3)。

(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の9月末TTS相場を使用。
図1
表
図2
図3
【峯岸 啓之 令和5年10月18日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
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