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米国農務省、アフリカ豚熱対策の取り組み状況を報告(米国)

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 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は10月2日から6日にかけて、アフリカ豚熱(ASF)アクション・ウィークを開催し、養豚生産者向けにウェブサイトやSNSを活用したASF対策の普及・啓蒙を図った。
 2021年にドミニカ共和国およびハイチでASFの発生が確認されて以来、米国ではASFの国内侵入防止・発生予防対策に加え、万が一、国内で発生した場合に備えたまん延防止対策などを強化してきた。USDA/APHISは、米国でASFが発生・まん延した場合、10年間で750億米ドル(11兆2935億円:1米ドル=150.58円(注))の損失が生じると推計しており、ASF予防対策への投資が必要であると業界にも協力を呼びかけている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年9月末TTS相場。

これまでのASF対策の取り組み状況
 ASFアクション・ウィーク開催中には、USDA/APHISからドミニカ共和国およびハイチにおけるASF発生以降のASF対策の成果が報告された(図1、2)。その主な概要は以下のとおりである。

1 国内侵入防止対策

  • ASF発生国からの豚肉・豚肉製品の輸入制限の強化を実施
  • 米国税関・国境警備局との連携強化によるASF発生国からの旅行者・手荷物の検査の強化、航空機からの廃棄物の適切な処理の確認、違法入港船舶の検査を実施
  • プエルトリコおよび米領ヴァージン諸島において国際獣疫事務局(WOAH)認定のASF保護区域を設定

2 発生予防対策

  • 州政府、養豚業界、生産者との協力を継続し、バイオセキュリティの厳格化を推進
  • 米国本土における飼養豚および野生イノシシのサーベイランス(調査監視)を強化し、飼養豚から6000検体、生産施設および研究施設における類似症状を呈した豚から2万6000検体以上、野生イノシシから3600検体以上を検査
  • 「私たちの豚を守ろうキャンペーン」を通じた生産者向けの啓蒙活動を実施

3 まん延防止対策

  • ASF対応計画を大幅に改訂し、可能な限り迅速な殺処分の完了、すべての生体豚および死亡豚の72時間の移動制限の基準、73時間後の移動再開の方針、管理区域内の規制の各州標準化、飼養豚および野生イノシシでの発生時のそれぞれ対応指針の提示などASFが発生した場合の体制を整備
  • カンザス州に24時間365日体制で海外悪性伝染病の診断検査に対応した国立生物・農業防疫研究所(NBAF)を開設
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【調査情報部 令和5年10月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部国際調査グループ (担当:調査情報部国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805