また同長官は、これらの課題に対応する米国農務省(USDA)の取り組みとして、「気候変動に配慮した商品のためのパートナーシップ・プログラム」を紹介した。本プログラムは、気候変動に配慮した農畜産物の市場拡大や市場機会を捉えた生産者の収益増加を目的に、酪農生産者、団体・組合、州政府・地方自治体、大学・研究機関、民間企業、環境保護団体などがパートナーシップを組んで実施する取り組みを支援するものである
(注1)。USDAは141の取り組みに対し、総額31億2500万米ドル(4703億4375万円:1米ドル=150.51円
(注2))を措置している。
(注1)『畜産の情報』2023年3月号「米国における持続可能な酪農・肉用牛生産に向けた取り組みについて」を参照されたい。
(注2)三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年10月末TTS相場。
具体的な取り組みとして、同長官は、(1)カリフォルニア酪農研究財団のふん尿管理の改善によるメタン排出量削減 (2)エッジ酪農協同組合の気候変動に配慮した生産方法の導入と市場拡大 (3)デイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ社の低炭素乳製品による市場機会の創出と循環経済の確立 (4)カーボン・A・リスト社のふん尿の付加価値化 の4件を例に挙げ、生産者が気候に配慮した農法を実践し、その成果を農畜産物の価値に付加することは、収益を増やすチャンスであると述べた。そして、このチャンスは大規模農場だけではなく、中小規模農場にも行き渡るものであるとし、中小規模農場のために、農村地域が活気を維持できるような機会を創出していきたいと付け加えた。