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カナダ食品検査庁、アフリカ豚熱に関する国家基準・枠組みを公表(カナダ)

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 カナダ食品検査庁(CFIA)は10月30日、アフリカ豚熱(ASF)のコンパートメントの国家基準および枠組みを公表した。

1 コンパートメントとは

 コンパートメントとは、家畜の飼養施設から飼料製造施設、と畜場、レンダリング施設などのすべての関連施設を含む一連の工程において、共通の高度な衛生管理によって清浄であると認められる施設群のことである。国際獣疫事務局(WOAH)の基準では、特定の疾病に関して設定することができ、疾病発生地域においてもコンパートメント内で生産される畜産物については輸出入が認められるとされる。また、コンパートメントは疾病の発生前に確立することが望ましく、当該国および当該畜産物の輸出先国・地域の獣医当局などによって承認される必要がある。

2 経緯

 カナダは、国内豚肉生産量の約70%(140万トン)を輸出する豚肉輸出国である。このため万が一、同国内でASFが発生しても一定程度の豚肉輸出を維持できるよう、CFIAはカナダ豚肉協議会(CPC)(注)と連携し、国家基準、枠組み、コンパートメント管理者プログラム(COP)の3点から構成されるASFコンパートメント・プログラムについて議論を続けてきた。今般の国家基準および枠組みは、2022年3月から6月まで実施したパブリックコメントを経て、公表に至ったものである。今後、各コンパートメント管理者が国家基準および枠組みをふまえて策定するCOPは、CPCによる確認とCFIAによる承認が必要となる。

(注)CPC:7000以上の農場を代表する9つの州の養豚生産者団体から構成される連合団体であり、カナダの豚肉生産の推進と保護を目的として、「価値の向上」「リスク管理」「社会的信頼の強化」「組織の質の向上」を掲げ、政府との連絡調整、農場におけるプログラムの開発、専門的な情報の発信などに取り組む。

3 国家基準および枠組みの概要

 ASFコンパートメント・プログラムの国家基準では、基準の適用を屋内飼養の豚に限定することなどの一般事項のほか、生体豚、精液・受精卵、施設・設備、水・飼料、人、車両などに関するバイオセキュリティなどについて、ASFコンパートメントと承認されるための要件を設けた(表)。コンパートメント内にASFウイルスを持ち込まないよう、コンパートメント内外の生体豚や豚由来の遺伝物質の交差、コンパートメント外から持ち込まれる飼料・水や人・車両などの管理などを徹底する形になっている。
  ASFコンパートメント枠組みでは、コンパートメントの管理・運営に要する役割や、コンパートメントの申請・登録・承認・管理などに要する手続きを明確化した。獣医療所管当局であるCFIAがASFコンパートメント・プログラム全体の監督とCOPの承認、養豚業界団体であるCPCが各コンパートメント管理者によるCOP作成・実行などの管理を行うこととし、コンパートメントの監査はCFIAが認定した監査員が行うこととした。
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【調査情報部 令和5年12月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
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