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欧州でん粉業界、「EUタンパク質戦略」を通じた支援を要請(EU)

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最終更新日:2023年12月5日

 欧州のでん粉製造企業の団体であるスターチヨーロッパは11月14日、欧州委員会に対し、欧州委員会が掲げる「EUタンパク質戦略」(参考)にでん粉業界を含めることを要請した。
 欧州委員会は、EUの食料安全保障の向上や食料価格の引き下げの手段として、「EUの植物性タンパク質の生産拡大」を挙げており、2024年第1四半期に包括的な「EUタンパク質戦略」を策定する予定である。スターチヨーロッパは、EUでの植物性タンパク質の生産量を増加させることは 農学、環境、気候、栄養面で利点があるとし、穀類、でん粉原料用いも、豆類などに含まれるタンパク質も食品および飼料用の原料とみなすことで、欧州委員会に対し生産者および加工企業への支援を求めた。
 
(参考)「畜産の情報」2023年9月号「EUにおける昆虫の飼料利用の実態と展望」の3の(1)タンパク質飼料の域内自給率の向上を参照されたい。
 
 スターチヨーロッパは13日、「持続可能なEUの食料供給システムにおける植物性たん白質の役割」とする会議を開催した。同会議によると、EUのでん粉産業は毎年、EU域内の農産物原料(トウモロコシ、小麦、でん粉原料用ばれいしょの他、えんどう豆、米、大麦を含む)2500万トンを加工し、でん粉1000万トンを生産すると同時に、530万トンのタンパク質や繊維質を副産物として産出している。このため、スターチヨーロッパは、既存のでん粉産業を同戦略に含めることによるテコ入れにより、域内の植物性タンパク質の生産量を増加させることが可能な点を強調し、下記の支援を要請している。
 
(1)政策的な支援:
・共通農業政策(CAP)や他の政策を通じ、穀類、えんどう豆、でん粉原料用ばれいしょをタンパク質源となる作物として認め、それらを加工するでん粉産業を支援する。また、でん粉原料用作物の増産や、多様化への取り組みを、CAPのエコ・スキーム(注)の対象とする。
 
(注)気候変動、環境、アニマルウェルフェア、薬剤耐性(AMR)に関する取り組みに対し、生産者への直接支払いに加算するもの
 
(2)研究および投資への支援:
・でん粉原料用作物に対し、収量やタンパク質含有量および耐病性の向上や、タンパク質を原料から効率的に分離する加工技術の向上のための研究に対する支援
・食品に利用される植物性タンパク質の機能性、食感、品質、味覚向上のための研究に対する支援
・持続可能性の向上に関する政策的な各種研究テーマに、植物性タンパク質を含む作物とその加工を含める。

(3)消費促進への支援:
・EUおよび加盟国の販売促進キャンペーンに、食事における植物性タンパク質の摂取量を増やす目標を含める。
 
(4)第三国との貿易に関する支援:
・域外国からの持続可能性に配慮しない原材料や製品の輸入により、植物由来タンパク質に対する業界の投資が減じないよう慎重なアプローチを求める。
 
【調査情報部 令和5年12月5日発
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
Tel:03-3583-8527