2023/24年度の砂糖とエタノールの生産量は引き続き増加(ブラジル)
最終更新日:2023年12月11日
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は11月29日、2023/24年度(4月〜翌3月)第3回目のサトウキビ生産状況等調査報告を公表した。本報告は、同年度のサトウキビ、砂糖およびエタノールの生産予測などを四半期ごとに公表するものである。
サトウキビ生産量は、天候に恵まれかなりの程度増加の見込み
2023/24年度のサトウキビの収穫面積は、前回(23年8月)予測から6万4000ヘクタール上方修正の835万ヘクタール(前年度比0.7%増)とわずかに増加が見込まれている(表1)。収穫面積の約9割を占める中南部地域では739万ヘクタール(同0.3%増)と横ばい見通しである一方、北東部地域では96万ヘクタール(同4.2%増)とやや増加が見込まれている。
単収は、多くの産地で前年度より天候が良好となり、年初に続いた大雨が成長期のサトウキビに良い影響を与えたことから、前回予測から2.3トン上方修正の1ヘクタール当たり81.1トン(同10.1%増)とかなりの程度の増加が見込まれている。この結果、サトウキビ生産量は、前回予測から2466万トン上方修正の6億7760万トン(同10.9%増)とかなりの程度の増加が見込まれている。
その一方、サトウキビの歩留まりの指標となるATR(注)は、前回予測から0.7キログラム上方修正されたものの、長雨がサトウキビの成熟に影響を及ぼしたことで、平均で132.9キログラム(同0.4%減)とわずかな減少が見込まれている。
(注)1トン当たりの平均回収糖分。ポルトガル語でAçúcar Total Recuperável(総回収可能糖量)の略。
砂糖とエタノールの生産量は、ともに増加の見込み
砂糖生産量は、前回予測から599万トン上方修正の4688万トン(同27.4%増)と大幅な増加が見込まれており、CONABの報告で過去最大の数値となっている(表2)。天候不順によるタイやパキスタンでの減産、インドでの国内インフレの抑制を目的とした輸出制限などを背景に世界的な供給不足が懸念される中で、ブラジル産砂糖に対する需要の増加や、ブラジルの多くの州でガソリンに対するエタノールの価格競争力が低下していることなどが要因とされている。
また、エタノールの生産量も前回予測から2億2344万リットル上方修正の340億5064万リットル(同9.9%増)とかなりの程度増加が見込まれている。内訳を見ると、サトウキビ由来のものが前回予測から2億6493万リットル上方修正の279億8644万リットル(同5.5%増)とやや増加が見込まれている。また、トウモロコシ由来のものは、同国のトウモロコシ生産量の約7割を占めるマットグロッソ州を中心とした中西部地域の増産により、前回予測から4149万リットル下方修正されたものの、60億642万リットル(同36.3%増)と大幅な増加が見込まれている。
砂糖とエタノールの輸出量も増加する見込み
2023/24年度(4〜10月)の砂糖輸出量についてCONABは、ブラジル開発商工サービス省(MDIC)の公表データを引用し、砂糖主産国の減産などを受けて1880万トン(前年同期比9.7%増)とかなりの程度増加したと発表した。そのうち、粗糖の主な輸出先は中国、インド、サウジアラビア向けで、これら3カ国で同国の輸出量の27%以上を占めている。
一方、同期のエタノールの輸出量は、約14億4000万リットル(同5.2%減)とやや減少した。主な輸出先は、韓国、米国、オランダ向けで、これら3カ国で同国の輸出量の72.6%を占めている。
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