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鶏肉大手企業、生産コスト高などで2023年第3四半期業績が悪化(タイ)

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 タイの鶏肉大手企業各社は2023年第3四半期(7〜9月)の業務実績を公表した。各社の業務実績を見ると、いずれも売上高、純利益ともに前年同期を下回り、23年前期と比べ厳しい業績となっている(表)。
 業績悪化の背景としてはさまざまな要因が存在するが、供給側の要因としては近年の飼料価格やエネルギー価格高騰による生産コストの増加が業績を圧迫しているとされる。また、需要側の要因としては、各国のインフレに伴う購買力の低下やタイ国内の消費需要の低下がある。さらに、養豚部門を保有する一部企業では、供給先での豚肉価格低迷も影響しているとされている。特にタイ国内では、21年11月に発生したアフリカ豚熱の影響により国内の養豚産業が被害を受けたことで、他国からの豚肉密輸が拡大し、供給過剰から豚肉など食肉価格の下落が問題視されている。
 現地報道によると、タイ農業・協同組合省は23年10月、豚肉密輸の取り締まりを強化しており、100日以内に目に見える結果を示すとしている。また、取り締まりの強化により、国内の冷凍倉庫から違法に輸入された豚肉をはじめ、鶏肉や水牛肉など多種多様な食肉が発見されているとしている。
 このような中、年末年始を挟んだ数カ月は観光シーズンとなるため、鶏肉需要の回復により第4四半期の鶏肉価格の上昇が期待されている。鶏肉大手企業の一角を占めるチャロン・ポカパン・フーズグループ(CPF)は、業務状況を把握し投資計画の見直しを慎重に行うことで、第4四半期(10〜12月)の業績回復を目指すとしている。
表 鶏肉大手企業の2023年第3四半期業務実績
【海老沼一出 令和5年12月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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