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英国で16年ぶりに牛のブルータングが発生(英国)

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1 英国で2007年以来の発生

 英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)は11月11日、英国ケント州カンタベリー市近郊で1頭の雌牛がブルータング(注)に感染していることを確認したため、半径10キロメートル以内を管理区域とし、家畜の移動を制限したと発表した(図)。その後、管理区域内で検査を実施した結果、新たに感染が確認された牛や羊を含めすべて淘汰(とうた)されたが、12月8日にはノーフォーク州ブロードランド地区でも感染が確認されるなど、管理区域が拡大された。確認された型は、欧州で流行している血清型タイプ3であり、英国ではタイプ3に有効なワクチンが承認されていない。英国での同病の発生は、2007年以来16年ぶりとなる。
 
(注)めん羊、山羊、牛、水牛、鹿など反すう動物に、粘膜部の充出血、びらん、潰瘍(かいよう)などを引き起こすウイルス性の感染症。原因ウイルスは吸血昆虫であるヌカカにより媒介される。国際的に重要な疾病であり、発症動物における直接的な損失のほか、発生国から非発生国への感受性動物や精子、受精卵の輸出制限が生じる(農研機構 家畜疾病図鑑Web)。ただし、感染した家畜の肉や乳を食しても人間の健康に問題は生じない。
図
 北アイルランド農業環境農村地域省(DAERA)によると、感染が確認された後、英国本島から北アイルランドへの反すう動物や精液・受精卵の輸送は制限されているという。さらに10月1日以降、英国本島から北アイルランドへ移送された牛および羊、合計2116頭を追跡調査することとし、11月までに801頭を検査したが、いずれも陰性であった。
 DEFRAおよび全英農業者組合(NFU)は、この病気の兆候を示す家畜を発見し次第、直ちにDEFRAまたは英国動植物衛生庁(APHA)への連絡を呼びかけている。

2 欧州での感染状況

 ブルータングについては、今年9月以降、オランダで1500件を超える感染事例が確認されたほか、ベルギーやドイツでもオランダの国境近くで感染が確認され、これらの国はブルータングの清浄国としてのステータスを失った(表)。欧州でもタイプ3に有効なワクチンの使用は承認されていない。
表
【調査情報部 令和5年12月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527