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豪州政府、主要食肉輸出3施設からの中国向け輸出再開を発表(豪州)

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中国向け食肉輸出3施設が対象、残る8施設は継続

 豪州政府は12月12日、ワット農相およびファレル貿易観光相の共同声明として、中国が豪州の主要食肉輸出3施設に対して行っていた輸入の一時停止措置について、解除されたことを公表した。
 現地報道によれば、3施設はビクトリア州のJBSブルックリン(JBS Brooklyn)およびオーストラリアン・ラム・カンパニー(Australian Lamb Co)と南オーストラリア州のテイズ(Teys)であり、各施設の従業員から新型コロナウイルス感染症例が確認されたことを受け、中国は2020年半ばまたは22年初頭からこれら施設からの食肉の輸入を停止していた。
 今回の中国の対応についてワット農相は、「豪州の農家と食肉加工業者にとって喜ばしいニュースである」との声明を発表している。また、豪州の食肉業界団体である食肉産業評議会なども、今般の中国による輸入停止措置の解除を歓迎する旨の声明を発表している。
 一方で、今回の輸入停止措置解除の対象となった施設に、中国向け牛肉の表示および衛生証明などに不備があったとして輸入が停止された8施設が含まれていないことを踏まえ、ファレル貿易観光相は「停止されたままの食肉施設などについて、中国の輸入再開を引き続き強く求めていく」との声明を発表している。

中国は豪州産牛肉の主要輸出相手国

 豪州にとって中国は、日本、韓国、米国と並び主要な輸出先である。2019年の中国向け牛肉輸出量は約30万トン(輸出量全体の24%)と、豪州にとって最大の輸出相手国であった。しかし、上述の輸入停止措置などの影響もあり、22年には約16万トン(全体の18%)に減少し、日本、韓国に次いで3番目となっている(図)。
図 豪州産牛肉国別輸出量割合(2022)
 一方、中国の牛肉輸入量は、国内での牛肉生産量が増加基調にある一方、高まる需要に追い付かず、増加傾向で推移している。中国は、自由貿易協定により低い関税での輸入が可能となる豪州から多くの牛肉を輸入しているが、近年は輸入先の多様化を図っており、特にブラジルなどの南米からの冷凍牛肉輸入量が増加している。このため、上述の輸入停止措置などの影響もあり、冷凍および冷蔵牛肉ともに中国における豪州の割合は低下している(表)。
表 中国の牛肉輸入量の推移
 今回の中国による食肉の輸入停止措置の解除が、豪州産牛肉の輸出動向を含めた国際的な牛肉需給にどの程度の影響を与えるかは不透明であるが、引き続き輸入停止措置が継続されている8施設に関する今後の動向も含め、両国の対応に注目が集まっている。
【平山 宗幸 令和5年12月15日発】
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