英国政府は2023年12月11日、家畜などのアニマルウェルフェア(動物福祉)に関連する違反に対して罰金通知を行う新たな罰則を設けると発表した。この罰則は2024年1月に施行され、違反者には最大5000ポンド(95万4200円:1ポンド=190.84円(注))の罰金が科せられる。新たな罰則は同国の動物福祉法に基づき制定されたもので、従来の違反行為に対する(1)助言と指導(2)警告書による通知(3)移動制限(4)起訴、といった措置を補完するものとなる。
(注)三菱UFJ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年11月末TTS相場。
今回追加された罰金通知の対象となるのは、牛結核検査の未実施を繰り返すことや劣悪な環境での動物の飼育、鳥インフルエンザに関する飼育命令に違反した場合などであり、違反の内容によって罰金の額を決定するとされている。また、罰則通知を受けたにもかかわらず、指摘された違反に対処しない場合には、起訴される可能性もある。
英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)によると、今回の罰則強化が抑止力になることを期待するとともに、違反者には起訴を回避する機会を提供するものであるとしている。同月18日に公表された手引によると、違反者に早期の改善を求めるためには引き続き助言と指導が主要な執行手段であるとしている。また、重大な違反行為やバイオセキュリティに重大な脅威があると認められる場合には、罰金通知ではなく起訴される可能性があるとしている。
同省動物福祉・バイオセキュリティ担当のミラー政務次官は、「すべての飼育者は、動物を危害から守り、疾病から国民を守るためのバイオセキュリティ規則を遵守する義務がある」とし、「これらの規則が破られた場合には、厳しい措置を取ることが不可欠である」と新たな罰則の必要性を述べた。
英国王立動物虐待防止協会の広報マネージャーであるギンゲル氏は、「動物に関する犯罪を取り締まる上で、罰金通知は有効な手段」と述べ、今回の罰則強化を歓迎するとした。