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2023年の全国穀物生産統計を発表(中国)

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 中国国家統計局は12月11日、2023年の全国穀物生産統計を発表した。これによると、23年の穀物全体の生産量は6億9541万トン(前年比1.3%増)と昨年に引き続き過去最高を記録し、9年連続で6億5000万トンを超過する結果となった(表)。この要因として国家統計局は、23年は黄河および(わい)()流域での収穫期の長雨、華北地域および東北地域の洪水、西北地域の一部で干ばつなどの悪影響があったものの、政府の生産支援により、穀物の安定供給の責任を果たし、増産を維持できたとしている。

23年の穀物作付面積は前年比0.5%増

 中国政府は2023年も引き続き、トウモロコシ、大豆およびコメ生産者に対する補助金の交付や、小麦とコメの最低購入価格の引き上げを行うことで生産者の作付意欲を高めてきた。また、各地の地方政府がこれら穀物の増産を主導したことで、中国全体の穀物作付面積は1億1897万ヘクタール(前年比0.5%増)と前年をわずかに上回った。品目別に見ると、コメおよびいも類の作付面積は前年から減少したものの、トウモロコシ(4422万ヘクタール、同2.7%増)、小麦(2363万ヘクタール、同0.5%増)、大豆(1047万ヘクタール、同2.2%増)はそれぞれ増加した。中でも、中国政府が引き続き大豆生産を安定させるための支援策として、大豆生産者に対する補助金交付や金融支援の強化に加え、新規の大豆生産者に対する栽培技術指導を通じ、大豆とトウモロコシの複合栽培を推進したとしている。

23年の穀物生産量は前年比1.3%増

 2023年の穀物の生産量は、国内31省(自治区、直轄市を含む)のうち、27省で生産量が増加し、国内全体で6億9541万トン(前年比1.3%増)となった。特に新疆ウイグル自治区の穀物生産量は、作付の最適化、水資源管理の改善、耕作面積の増加などにより、2119万トン(同16.9%増)と大幅に増加した。また、山東省、吉林省、四川省、遼寧省、内モンゴル自治区、安徽省では、いずれも生産量が前年から50万トン以上増加した。品目別ではコメおよび小麦の生産量は前年を下回ったものの、いも類(3014万トン、前年比1.2%増)、トウモロコシ(2億8884万トン、同4.2%増)、大豆(2084万トン、同2.8%増)は、前年を上回った。

23年の平均単収は前年比0.8%増

 2023年は華北および東北の一部地域で洪水被害が発生したものの、全国的には日照、気温、降水量ともに好条件となり、作柄はおおむね良好であった。中国は、密植耐性のある品種の普及とさまざまな栽培技術の統合による改善を重点的に取り組んでおり、23年の穀物単収は1ヘクタール当たり5.8トン(前年比0.8%増)となった。品目別では、収穫期の長雨の影響を受けた小麦以外はいずれも前年を上回り、いも類(同4.3トン、同3.2%増)、トウモロコシ(同6.5トン、同1.5%増)、大豆(同2トン、同0.5%増)、コメ(同7.1トン、同0.8%増)となった。
表 2023年穀物生産動向
【海老沼一出 令和5年12月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389